佐田町ヤーコン生産組合(島根県出雲市佐田町)【#連載74】

ヤーコンという食べ物をご存知だろうか。どんなものかと佐田町ヤーコン生産組合のメンバーのひとり、板垣百合子さんに話を聞いた。

(取材・文章 tm-21.com)

↓ヤーコン芋の掘り出し
佐田町ヤーコン生産組合 ヤーコン芋の掘り出し

 

【今回の元気企業】
佐田町ヤーコン生産組合
代表者 池田 真一さん
組合員 原田地区、朝原地区5家族の皆さん
〒693-0501
島根県出雲市佐田町朝原570
TEL.0853-84-0029
FAX.0853-84-0029
URL:http://www.sada-yacon.jp/  

ヤーコンて何?

出雲市から佐田町へ向かっていく途中、奇岩がつらなる立久恵峡にさしかかる。赤や黄色の紅葉がそろそろ見ごろを向かえ、散策に訪れる観光客の姿も多く見えた。

佐田町の温泉施設「ゆかり館」駐車場の一角に、農産物や農産加工品をならべた産直市場「雲海の館」がある。そこで、板垣百合子さんとお会いした。

ありました「ヤーコン茶」、大きな袋に入ったお茶、葉っぱと茎を乾燥させてお茶にしたものだ。つめたいお茶をいただいた。薬草の香りはするが、そんなに癖は無くのみやすいお茶だった。

ヤーコンの芋はどういうふうに食べるのか?
隣のゆかり館でヤーコンソフトを販売しているというので、ソフトクリームをいただいた。色はベージュ、普通のソフトクリームよりあっさりしている。
甘さはサツマイモや栗の風味の甘さに近く、なんだか和風ソフトという感じがした。

ヤーコンはアンデス原産の植物、お芋の形をしているので、サツマイモやサトイモのようにもちもちほくほくしたものと想像していたら、以外や食感は梨のようにシャリシャリしているという。

本物のヤーコン芋を見せてもらいに畑に行った。

畑には葉が落ちた1メートルくらいの棒のような茎が立っている。抜くとサツマイモのような芋が数個ついて出てきた。見た目は白っぽいサツマイモ。

佐田町ヤーコン生産組合の皆様 皆さんだれもが元気で活き活きといい顔してます!!
佐田町ヤーコン生産組合の皆様 皆さんだれもが元気で活き活きといい顔してます!!

ここで思い出しました。
10月中ごろ、NHKのお昼の生番組「ふるさと一番」で佐田町が紹介されていた。そのとき出てきたのがヤーコン畑、1メートル以上のヤーコンの木、大きな葉っぱの中から、陽気なおじちゃんとおばちゃんが顔を出してニコニコしていたことを。

ヤーコンの生スライスを食べたお嬢さんが、梨みたいと言ってました。
私も生スライスを食べてみた。洋梨のような、甘い大根のような食感だった。

佐田町でヤーコンを作るきっかけはなんだろうか。
今から10年ほど前、当時ヤーコンは九州で栽培され始めたらしい。紹介してくれる人がいて、「佐田町でヤーコンを作ってみないか?ヤーコンは葉っぱも茎も芋もすべてお金になる、とっても作りやすい作物だ」 お米の転作植物を探していた佐田町では、ヤーコンを作ることとなった。
オリゴ糖を多く含み、健康に良い食品だそうだ。

 

佐田町ヤーコン生産組合

ヤーコン商品や調理例<BR>(上から)ヤーコン茶、ヤーコン・ソフトクリーム、ヤーコン調理例(きんぴら)、ヤーコン種芋

ヤーコン商品や調理例
(上から)ヤーコン茶、ヤーコン・ソフトクリーム、ヤーコン調理例(きんぴら)、ヤーコン種芋

板垣百合子さんは、佐田町出身、ご主人とは同級生、生まれも育ちもそして現在も佐田町原田地区で生活している。

この地域、紅葉が美しくよく手入れされた里山風景だ。
「きれいにしてますね」と聞くと、この地域では年間4回は田んぼや畑の草刈をして、手入れをしようという、決まりがあるそうだ。地域の皆さんで、環境維持に努力した結果が、この美しい里山を私達に見せてくれている。

百合子さんは、24年間働いた職場を早期退職した。農業を始めたのはそのときからだった。もちろん、生まれた実家も農家ではあるが、若いお嬢さんは農業をするはずも無く、初体験だった。

最初に取り組んだのが「やまのいも」1年目は雑草ばかり育てているようで、失敗でした。
ようやく、畑仕事にもなれて余裕も出てきて、次に取り組んだのが「ヤーコン」だった。

ヤーコンの種芋を買って、5月の植え付け、虫もつきにくくほっといても大丈夫、10月末の収穫は大成功だった。

収穫後、種芋の保存に多くの方は、有名な八雲風穴を利用した。涼しく一定の温度が保てることが理由だった。百合子さんは自宅で、木箱におがくずを入れて保存していた。種芋が無事冬越しをしたのは、百合子さんの芋だけだった。「そのとき、我が家も風穴に入れていたら、ヤーコンはそこで終わりでした」

ヤーコン生産組合のメンバーは数軒の農家、皆さんサラリーマンや公務員・自衛隊員などを退職した方たちだ。作るなら他では作っていないもの、ここにしかないものをという思いだった。
2000年から2003年ごろヤーコンブームがおこり、種芋をたくさん販売したため、今では全国どこでもありますよと、笑っていた。

現在は、ヤーコン茶や芋の粉、漬物にした加工食品などを全国に販売している。

そばとヤギ

朝原(あざばら)やぎファーム<BR>(写真うえから)濱村民夫さん・あけみさんご夫妻、可愛い山羊たち、その乳で作ったヤギ・アイス

(上)そば祭り:そば打ち体験の様子と美味しい新そば
(下) 朝原(あざばら)やぎファーム :(写真上から)濱村民夫・あけみさんご夫妻、可愛い山羊たち、その乳で作ったヤギ・アイス

佐田町ゆかり館の隣には、須佐神社がある。駐車場にはバスは止まっているし、県外ナンバーの車も多く、若い人が多いことに少々ビックリした。

なんでも、須佐神社はスピリチュアルスポットとして、有名なのだそうだ。神社の裏にある大きな杉の木がベストスポットとか。江原氏が著書に書いてから、訪れる若い人が多くなったそうだ。

百合子さんの原田地区へ行くと、多くの人たちが集会所へ集まっていた。「何ですか」と聞くと、今日は健康ウオーキングにあわせて、「新そば」をうって食べる会をやっているとのことだった。

佐田町では全域で各地区に振興協議会があって、活動をしているとのことだった。原田地区では、健康や環境・イベントのほかに「そば部会」があり、皆さんでそばを作っている。

先週も「ごっとこい祭り」産業際の会場で、そば屋台をしたそうだ。昨日は、出雲市のイベント会場に出張、そばの時期ひっぱりだこのようだ。

会場にお邪魔した。子供たちもそば粉をこねている。茹でていたのは若いお父さん達、学生服の中学生が部活の帰りだろうか、もくもくとそばを食べていた。

地域全員誰でも参加できるそばまつり、おかわり自由・自分でうって持って帰ってもよい、もちろん無料、うらやましいお祭りだった。そば部会の会長さんに挨拶をして、食べました「新そば」。

ひきたて・うちたての二八そば、つるつるもちもち、いい香りでした。のどごしにそばのいい香りがふわっときます。おじさんがコーヒーの空き瓶に入ったわさびを出してくれた。今年の10月に沢でとった天然わさびの葉のつけたもの、冷凍室からだしたばかり。

つんとわさびのいい香りが、そばにのせて食べると絶品でした。里山は豊かですね。

途中でも、他地区の振興協議会が道路わきの草刈をやっていた、昼時公民館に集まって休憩中、多くの人たちが談笑している様子は、豊かな暮らしに思えた。きっとこのあと直会をやって盛り上がるのでしょうね。

なんだか賑わいのある町だなという印象を持った。
佐田町に来て、そう感じたのは、この地域の人々の暖かさと心の豊かさだったのかもしれませんね。

次にヤギを飼っているご夫婦がいると案内してもらった。佐田町朝原地区「 朝原(あざばら)やぎファーム 」自宅前に手作りの木の看板が立っている。

濱村民夫さんとあけみさんご夫妻、ヤギ小屋に案内してもらった。白いヤギが7頭、1頭は今年生まれたばかり、おとなしくて小さな角が愛らしい。

この小屋で生まれたヤギ達は、人懐こくて濱村さん夫妻を親だと思っているらしい。このうち2頭のヤギのお乳を毎日朝夕搾っている。

3年前、上の柿畑へ放牧して草を食べてもらい、糞は肥料になるだろうと3頭買い始めた。ところがヤギは木の皮をかじることが大好き、柿の木は削られて失敗でした。

小屋を作って飼い始めた、2頭のヤギからは毎日3リットルの乳がとれる。昨年からアイスクリームを作り始めた。ヤギの乳75パーセントに生クリームを加え、20個ほどのアイスクリームを手作りしている。

あけみさんは毎日世話をするので、留守には出来ず、夫婦で出かけることも出来ない。ましてお泊りは出来ません。子育てと一緒ですよと笑っていた。

冬場はアイスクリームの売れることが少ないので、冬場にチーズつくり研究を始めるそうだ。ヤギのチーズ、どんな味か食べてみたいですね。

濱村さんご夫婦もサラリーマンを早期退職し、専業農家を始めて4年。ここでも、他に無いものをつくろうという思いが伝わってくる。

ヤギの乳を飲んで育った、なつかしいといってたずねてくる客もあるということだった。
ヤギアイスは「雲海の館」で販売している。
たべてみました。これも牛乳よりさっぱりしていて、後口にヤギの乳の香りが残ります。バニラ・抹茶・チョコの3種、私はバニラをいただいてみました。他にはない味でしたよ。

(左)地場の農産加工品の直売店『雲海の館』、(中)雲海の館の内部、新鮮・安全・安い!品物が一杯、(右)隣接する温泉施設『ゆかり館』
(左)地場の農産加工品の直売店『雲海の館』、
(中)雲海の館の内部、新鮮・安全・安い!品物が一杯、
(右)隣接する温泉施設『ゆかり館』

 

百合子さんとあけみさん

農家の女性は働き者だとつくづく感じた。毎日、農作業に励み産直市に出荷してイキイキ暮らしている。「まめだかネット」という、産直グループを作り活動している。

収穫・洗浄・仕分け・出荷と手間ひまかけて、100円。
お金にはならないけど、喜んでもらえること。作ったものを無駄にしないこと。これが励みですよ。皆さん、ニコニコ笑っていた。

もちろん、働き者は無駄な肉もついていない。
体にも心にも贅肉はついていませんでした。

ヤーコンソフトにヤギアイス、食べ放題の新そば。私は贅肉ついちゃいそうです。

平成20年11月9日取材

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