スモークハウス 白南風(しらはえ) 青木章さん(出雲市)【#連載85】

出雲市大社町で燻製工房『スモークハウス白南風』を自営する青木章さんに、こだわりの燻製作りに向き合う熱き思いを聞きました。
スモークハウス 白南風(しらはえ) 青木章さん(出雲市)【#連載85】 

今回の元気企業

青木 章(あおき・あきら)さん

会社名 スモークハウス 白南風(しらはえ)
〒699-0722 出雲市大社町北荒木264-3
TEL 0853-53-5367

大社町にひっそりたたずむ燻製工房

 出雲大社のすぐ近く。探しても探しても見つからない。このあたりで間違いないはずだけど・・・。同じ道をぐるぐると何度も回ってやっと見つけた。スモークハウス白南風。この場に工房をかまえて27年になる。

 スモークハウス白南風は住宅とぶどう畑にかこまれて、まるでかくれんぼをしているかのようにひっそりと工房をかまえている。昔ながらの日本家屋に囲まれながらも不思議と馴染む木の小屋が愛らしい。

ここで作られる燻製製品は、その工房の構えと同じようにひっそりと、しかし全国的に根強く愛される知る人ぞ知る名品だ。

 白南風は夫婦2人できりもりしている。中に入ると建物いっぱいに巨大なレンガの窯があって、その正面に寡黙に座り炎を見続けるご主人、青木章さんがいる。怒っているのか、機嫌が悪いのか、初めの印象は”無口ながんこおやじ”という感じだった。とてつもない威圧感・・・あとから分かるのだけど、実はとっても照れ屋さんなだけだった。

 話し始めると、その燻製に対する強固な姿勢には驚かされることばかりだった。

スモークハウス 白南風(しらはえ)ソーセージの薫製

スモークハウス 白南風(しらはえ) 外観

スモークハウス 白南風(しらはえ) 外観

無添加で燻製を作るということ

 白南風の定番商品はベーコンとソーセージ。材料は島根県産の豚肉に、塩・胡椒。それだけ。じつは、この”それだけ”というのが燻製製品ではとても稀なことなのだ。

 ふつう市販のベーコンには「発色剤」とか「酸化防止剤」とか、いわゆる添加物がほとんどのものに入っている。ベーコンやソーセージのきれいな赤い色は実は「発色剤」によって作られた色なのだ。そのほうが美味しそうに見えるからというのが主な理由。

 生の豚肉を焼くと白っぽく変色するのが普通のこと。ソーセージやベーコンでも、加熱=燻すと同じように白っぽくなるのが当たり前なのだ。そういわれてみると「無添加」を謳った商品は確かに白っぽいにごった色のものが多い。

 でも、不思議。白南風のベーコンはとてもきれいな赤い色をしているのだ。
 青木さんに言わせれば、それは「本物の燻製の製法を知らない奴らが作るから」なのだそうだ。しかも、その製法を知るものは日本でも数少ないらしい。

 白南風の燻製は一般的な製法と違って、比較的低温で長時間燻すことで肉の持つ自然の力で赤く美しく発色するのだそうだ。

 これは青木さんが長年の経験から編み出した独自の製法によるもの。とてもシンプルなことのように思えるのだが、その当たり前が一般にされていないことに驚く。

 美しい赤色をまとった豚肉は、じっくり燻され旨みを最大限ひきだされていく。特別に美味い燻製へと変貌していくのだ。食材本来の力を存分に引き出してやることがもっとも重要で、そして最も難しいことなのだなと唸ってしまう。

巨大なレンガ燻製窯の前で火をあやつる青木さん

巨大なレンガ燻製窯の前で火をあやつる青木さん

炎を愛するがゆえに

 青木さんは実は「火山写真家」という燻製作りとはかけ離れた意外な経歴を持つ。でも「炎」というキーワードで結ぶと納得することが出来る。火山の「炎」に魅せられた青木さんがたどり着いたのが窯の中の火だったのだ。火山を旅していたとき、奄美群島の住民が作って食べていた魚の燻製に出会う。

 そのときの美味さが忘れられずに今の青木さんがある。ベーコンもソーセージももちろん美味いが、青木さんの自慢の逸品は実は「魚の燻製」なのだ。でも、白南風に行って魚の燻製に出会うことはめったにない。なぜなら、旬のいい魚が手に入ったときしか作らないからだ。しかも少量ずつ・・・。まさに幻の逸品!

 白南風の工房に行けばそのときある商品を購入することができるが、運がよければあなごやトビウオなどの魚の燻製に出会えるかもしれない。

スモークハウス 白南風(しらはえ) 青木章さん(出雲市)【#連載85】

スモークハウス 白南風(しらはえ)の燻製製品

じわじわと燃える熱い思い

 青木さんの最初の印象は「無口な人」だった。確かに、ちょっととっつきにくいしもの静かな人だ。でも実はしゃべりだしたら止まらない。

 燻製とは何か?食とは何か?炎について、木について、肉について・・・さらには歴史について、自然について、世界について!! その知識と好奇心の深さに驚く。

 青木さんの頭の中はきっとぐるぐると宇宙のようにイメージが飛び交っていることだろう。それも押し付けがましいものではなく、素直に納得できるようなスッキリする答えへ導いてくれるのである。それはもしかしたら目の前で燃えている炎の力かもしれない。青木さんと一緒に炎の前に座っていると、ずっとそこに長居したくなってしまうから不思議だ。
 
青木さんが自分の作った燻製について語った言葉で最も印象的だったことがある。

「食べれば分かる」

 その一言で青木さんの想いは実にシンプルなことなのだと気づいた。

 本物の味を知って欲しい。それだけが白南風の絶品の燻製の原動力なのではないだろうか。
 スモークハウス白南風は小規模ながらも、その味を愛するファンの手で支えられている。確実に青木さんの静かな熱い情熱は私達に伝わっている。

 色々述べてきたし、白南風の魅力をもっと言いたい気もするけど、やはり結局はこう言うのが一番伝わるのではないか。

「まずは一度食べてみて!」

 

 スモークハウス 白南風(しらはえ) 外観

スモークハウス 白南風(しらはえ) 外観

今回掲載の元気企業データ

名称 スモークハウス 白南風(しらはえ)
所在地 〒699-0722 
出雲市大社町北荒木264-3
代表 青木章(あおき・あきら)さん
業務 燻製工房
連絡先 電話:0853-53-5367

 

2011年2月23日取材

取材・記事  久保田 夕  「島根のおいしいブログ」 http://ameblo.jp/yu-shimane/

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