シンガーソングライター　安部　雄治さん（松江市国屋町）【＃連載104】

商店街ＰＲソング

　松江市城北地区住民有志が　地元石橋商店街のＰＲソングを作ったと新聞記事でしった。城北公民館長を中心に、地元商店街１２店舗を親しみやすい歌詞で紹介している。
「あるぞ　あるぞ　いっぱいあるぞ城北のうまい店」
「李白さんは酒屋さん　純米　吟醸　大吟醸」
などと　各店を紹介している。商店街ではこの曲を流して、評判は上々とのことだ。

この歌詞に、明るい曲調で作曲し、歌っているのが　安部雄治さん。
安部さんの友人である商店街のパン屋さん「パンエブール」　ここで、安部さんはライヴを開いていた。このとき、城北公民館長さんが来店し、安部さんに作曲の依頼があった。
平成２６年春のことだった。

「石橋町のうた」が新聞・ＴＶ・ラジオなどで紹介された。
マーブルテレビ新番組「旬感おもっせワイド」のテーマソングの依頼があった。
「ありがとう　だんだんね」を作曲・歌唱　マーブルで流れている。

「ありがとう　おはよう　みんなで笑って　だんだん
　さかあがりできなくて　練習したね　ながした涙は　僕の宝物」
と歌詞は続く。　安部さんの明るい歌声がさわやかだ。

平成２６年はじめ、会社を退職しプロデビューを果たしたばかり、幸運な滑り出しだった。

安部雄治さん

　松江市八束町出身　３７歳。
父親は、バックバンド奏者だった。
おやじの背中を見て育った安部さんは、プロのミュージシャンを目指した。
２０歳。単身上京、路上ライブを始めた。
ギター１本抱えて、東京から九州まで、ライヴ活動をして歩いた。

ライヴ仲間の家に泊めてもらったり、食事をご馳走になったりしながらのライヴ旅だった。その後、関西を中心に活動をするようになり、８年が過ぎていく。

不安はなかったという。

さまざまなコンテストに、デモテープを送った。
松江市島根町「うみのうたオリジナルソングコンテスト」２年連続グランプリ受賞
山陰オリジナルソングコンテスト「ほうき星を探せ」グランプリ受賞
全国版音楽雑誌「ゴーゴーギターオリジナルコンテスト」グランプリ受賞
華々しい受賞、若かった、何でもできると思っていた。

しかし、思うようにメジャーデビューとはいかなかった。

現在、中学生になる息子にも恵まれた。
３０歳、「家族を食べさせていかないと」
３２歳、　松江でサラリーマンになった。５年の月日が過ぎていく。
音楽の世界には距離を置いた。

みやび楽温堂

　安部さんの名刺には、ひらがなで　あべゆうじ。
そして、みやび楽温堂（みやび　らくおんどう）と書いてある。
みやびは息子の名前の一文字（雅）
温は３歳の娘の一文字（のどか）
家族の名前をとって名づけた。

平成２５年１２月、５年のサラリーマン生活をやめた。
もう一度、夢を追いかけよう。今しかないと決めた。
アルバイトをしながら、保育所でうたあそび、ショッピングセンターや福祉施設などで歌った。

一番好きな歌は何ですか？
山崎まさよし「ワンモアタイム・ワンモアチャンス」です。
この曲をきいて自分もプロを目指そうと、思った大好きな曲だという。

ギターの弾き語りで「ワンモアタイム・ワンモアチャンス」を歌ってもらった。
いつもの、明るい歌声とは違う、甘くセクシーな声で歌ってくれた。

これからの活動は？
子供達からお年寄りまで、みんなに親しんでもらえるような曲を作っていきたいです。
オリジナル曲は、リラックスしているときに浮かんでくるという。
そのときに、書き留めたり、口ずさんで録音したり、作りためている。

安部さんの歌には、ありがとう　がよく出てくる。
これまでの、人との出会い。
路上ライブの仲間、サラリーマン時代の出会い、そして家族の支え。
すべてに、感謝です。

サラリーマンをやめて、一番よかったことは家族との時間が増えたこと。
学校が休みのときは、中学生の息子をよくライヴに連れて行く。
自分の生き方を見せているのだろう。
おやじの背中を見て育ったように。

安部さんの明るいポップな歌声は、家族の愛にささえられているようだ。

サラリーマン時代にお世話になった、メキシコ人のかた、歌の夢にかけると話したところ、メキシコに帰っていた知人は、自分が紹介するからメキシコでライヴをやろうと声をかけてくれた。来春、メキシコでのライブが実現する。

人との出会いに感謝の気持ち、活動を始めてまだ数ヶ月、色々な仕事が入ってくる。
これからの安部さんの活動に注目だ。