高砂醤油本店 取締役 高砂勝行さん(出雲市平田町)【#連載95】

創業明治十年、老舗醤油蔵の若きリーダー 高砂勝行さんにお話をきいた。
高砂醤油本店 取締役 高砂勝行さん(出雲市平田町)【#連載95】 

今回の元気企業

高砂 勝行さん

会社名 株式会社 高砂醤油本店
取締役
〒691-0011 島根県出雲市国富町305
TEL 0853-63-3141 
Fax 0853-63-3589

ホームページ
http://takasago-shouyu.com/

創業明治十年、醤油の奥深さ

醤油に味噌、日本人には欠かせない調味料。それぞれの家庭には、変わらぬ味がありずっと同じものを使い続ける、変えると「あれー」なんか違うとなるものだと思う。

出雲市平田の国富町にある(株)高砂醤油本店にうかがった。
平田自動車学校の横から山すそへ入っていくと、そのあたりは醤油の香りが漂っていた。
創業明治十年、当時からの醤油蔵がどんと存在感を与える。

醤油蔵は島根県には、60件以上あるという。
広島県ですら、80件程度というから、人口に比べて島根県内にはとても多いことがわかる。
醤油は発酵食品、大豆・小麦・塩・水だけで作られる。
発酵するためには酵母菌が必要で、それぞれの蔵に独自の酵母菌があり、味が違ってくるそうだ。

出雲地方の醤油は独特だ。とろっとしていて、独特な甘みがある。
これは、さいしこみ醤油の特徴なのだ。
さいしこみ醤油の発祥は山口県、そして島根県から九州地方におおいという。
この醤油は、醤油全体の1パーセント程度という、希少なものなのだ。

 明治時代、高砂家8代 高砂正右衛門は、山口へさいしこみ醤油の修行にいき、明治十年創業した。大正十年、商標を「ヤママサしょうゆ」と名づけた。
ヤマは屋号のようなもの、マサは正右衛門の正をとってつけた。

昭和8年、さいしこみ醤油(かけ醤油)を島根県で初めて製造。「紅梅」と命名した。
当初は、その独特の味になかなか受け入れられなかったという。
昭和9年から10年、島根県醤油品評会で「紅梅」は2年連続特選を受賞したことなどから、次第に、さいしこみ醤油紅梅は、出雲に広がっていった。
「紅梅」は、蔵の庭に紅梅の花が美しくさいており、紅梅が好きだったので命名してとのことだった。

 我が家も、代々ヤママサの紅梅の愛用者。
兵庫県出身の私は、最初ビックリポンでした。ええー、醤油?ソース?。
兵庫県竜野市はヒガシマル醤油の発祥の地、さらり、すっきり醤油で育ったもので。
すでに40年、紅梅は肉や赤身のさしみ、煮魚に少し入れると絶品です。

高砂醤油本店 取締役 高砂勝行さん(出雲市平田町)【#連載95】

高砂醤油の各種商品

高砂醤油本店6代目 高砂勝行さん

昭和54年12月生まれ36歳、若きリーダーだ。
老舗の家業だが、両親からは特に家業を継ぐようにとか、とくに言われたこともなく、自由に何でも好きなようにしていいと育った。
車が好きで、進路を考えたときには、車の仕事もいいかなとも思ったが、大学では食品を学んだ。
やはり、環境が人を育てているのだと思う。

卒業後、広島県のユ-メン醤油での修業の後、平田に帰ってきた。

36歳独身優しい笑顔の青年、スノボーやボルダリング、ダーツなどスポーツ好き。
話をきいていると、自然体で気負ったところもなく、淡々と話す様子がとっても落ち着いて見える。

先代からは、家業を任されているが、その考え方はまったく違うという。
老舗といえども、守るべきものはきちんと守り、そして新しいことにもどんどん挑戦し、発信しなくてはいけないと、強く語ってくれた。
自然体の中には、しっかり強い信念が見えた。

高砂醤油本店 取締役 高砂勝行さん(出雲市平田町)【#連載95】

写真上から、もろみの発酵蔵、明治からつづく醤油蔵、醤油しぼり、ボトル詰め

醤油のできるまで

楽しみにしていた蔵の見学、作業工程は昔に比べ機械化はされているが、製造方法はその昔と何も変わってはいない。

大豆を蒸すおおきな釜、圧力釜になっている。
蒸した大豆に、焙煎し細かく砕いた小麦をまぜて発酵させる。
発酵蔵には、今朝6時から仕込んだとういもろみが寝かせてあった。
温度が大切、中をのぞくと納豆のような匂いがする、発酵しすぎると納豆になってしまうそうだ。

こうして出来上がった麹に塩水を加え、夏ごろまで屋外のタンクで発酵させる。
その後、明治から使い続ける蔵に移し、冬まで寝かせておく。
冬になると、布袋につめて絞る、最初は自然に染み出して、その後加圧で絞っていく。
3日間かかるという。
このあたりは、酒作りと似ている。
明治から修理を続けて使っている蔵、中は大きな枡で仕切られており、それぞれに醤油が入っている。
梁や木の壁は、酵母菌で青白くなっている。
この蔵の天然酵母が醤油の味を作っていく。
自然が育てる、蔵の味になっていく。

蔵を建て直した醤油屋さん、味が変わったそうだ。
大切に守り続けていく最高のものがこの蔵酵母菌なのだ。

絞った醤油は、火入れをしてボトルにつめて出荷されることになる。
この醤油が、濃い口醤油。
さて、さいしこみ醤油は、この工程をもう一度繰り返すのだ。
2度目の仕込には、麹に塩水ではなく、濃い口醤油をいれてもう一度発酵させる。
これが、さいしこみ醤油「紅梅」になる。
味と香りが濃厚でとろっとした醤油になる。

2年がかりで作るさいしこみ醤油、お値段が少々高くなるのはしかたなし、手間隙かけて、濃厚な味を作り上げている。
醤油のできるまで、すこしわかってもらえましたか。
奥深いでしょう。

高砂醤油本店 取締役 高砂勝行さん(出雲市平田町)【#連載95】

新商品「にんにく醤油」「しょうが醤油」

和食と醤油のこれから

醤油は必ず家にある調味料で、毎日使うものと思う。

近年、醤油の消費量は減少している。
人口減少、食事内容の変化などなどたくさんの要因がある。

家庭で煮物を作らなくなった。
鍋つゆなども、自分でつくるよりパックで買ってくるようになった。
かけ醤油のほかに、味ポンやドレッシングなど多様化している。
特に和食を家庭で作ることが減ってきたことはおおきいようだ。

老舗といえども、守るだけでは立ち行かなくなってくる。
白だし・だし醤油・すだちポン酢・酢・あさ漬の素など、さまざまな商品がある。
そして、このたび新商品「にんにく醤油」「しょうが醤油」を販売した。

そのままかけても、調味料としてつかうのも便利だ。

小さな冊子をいただいた。
高砂のお醤油を使った「お手軽レシピ集」お母さんが作って、勝行さんが写真を撮り印刷して冊子に作った。
お客様や展示会などで配布している。
ホームページにも掲載されている。

勝行さんは、食のフェアーや展示会に積極的に参加し、また学校での出前授業でも醤油の話をしている。
料理研究家や高校生とコラボし、高砂の醤油を使った料理フェアーなんかも面白いなと話は弾んだ。

ヤママサ醤油は島根県東部が販売の中心ではあるが、昔から電話で県外からの注文が来る。島根から県外に移り住んだ方、島根でに来て味わって注文される方、北海道から沖縄まで全国に顧客がいる。
4年前からホームページを立ち上げネット販売も始めた。

若きリーダーは、守るべきこと、外に発信することを淡々と自然体で作り上げていくようだ。

高砂醤油本店 取締役 高砂勝行さん(出雲市平田町)【#連載95】 

高砂醤油本店 外観

今回掲載の元気企業データ

法人名 株式会社高砂醤油本店
所在地 〒691-0011 島根県出雲市国富町305
代表 高砂 明弘
設立 高砂8代高砂正右衛門により創業

昭和35年4月
株式会社高砂醤油本店を設立

業務 醤油製造・販売
連絡 TEL 0853-63-3141 
FAX 0853-63-3589
ホームページ

高砂醤油本店

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2016年2月2日取材 tm-21.com

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