【連載#01】野田哲夫助教授(のだ てつお)さん

近未来・・・山陰のインターネットはどげなことに ?
       お年寄りまでインターネットを!
 
 島根大学法文学部 野田哲夫助教授
(情報経済論)
 

【今回の元気人】 島根大学法文学部 野田哲夫助教授

 

tm-21.comの新企画 「山陰の元気人!」のトップバッターとして、私たちの関心事である「近未来の山陰インターネットの姿」というテーマで島根大学法文学部の野田先生に寄稿をお願いいたしました。 

先生は、情報経済論を専門分野とする大学での研究活動のほか、島根県のIT戦略構想委員会、soho研究会、パソコン・ボランティア、IT講習会などの活動を通して地域情報化の推進に積極的に係わっておられます。

(取材 tm-21.com 宮崎 照) 

お年寄りまでインターネットを! 

寄稿 :  島根大学法文学部 野田哲夫助教授(情報経済論)
e-mail: nodat@soc.shimane-u.ac.jp 

近未来の山陰・・・

経済学者は未来を予言することはできませんが、「高齢化」や「過疎」、ある意味ではこれからの日本全体が対処していかなければならない これらの問題を「先進的」に達成しているこの山陰地方において、1-2年後もその状況は進度を増すことだけは確実に言えるでしょう。

 それだけに、この山陰地方で「情報化」が果たす役割は、これからの「高齢化社会」を迎える日本が同時に目指している「e-Japan」の具体的な展望となるはずです。

「e-Japan構想」

日本政府によるIT化・情報化推進計画)において電子政府の導入は2003年、まさにいまから1-2年後を目途としています。

 「e-Japan」や「電子政府」といっても具体的に何だかわかりにくいですが、要するに役場の情報をインターネットで公開し、自宅からでも、オフィスからでも、24時間いつでもいろんな手続きができる、申請ができる、入札・開札もオンラインでやる、ということです。市町村合併問題もこれにからんでくるでしょう。

 この行政の情報化が実現するためには、行政機関の側でのシステムの構築、情報の電子化・ペーパーレス化といった作業が当然必要ですが、その情報を住民みんなが、お年寄りまで見ることができ、必要な操作ができるようにならないといけません。本当に可能でしょうか!?

「人材の育成」 

 そのために必要なのはまず「人材の育成」。

 今年度から全国的にIT講習が行われています。各地で高齢者も含めた幅広い参加で実施されていますが、ITの普及にはまだまだですね。中には「パソコン講習」と勘違いされているところもあります。必要なのはインターネットが使えることです。そのためにこれからも、教える側、教えられる側、双方含めた「人材育成」は欠かせないでしょうね。

 そしてインターネットをするには今の「パソコン」はまだまだ使いにくい。高齢者まで含めた、使いやすいインターネット端末の開発が求められるでしょう。

 「高齢化」の先進地方であるこの山陰地方でその先進例を作り上げれば、きっと全国の市場でも通用するはずです。またこれらの端末とネットワークを活用したアプリケーションの開発、福祉や医療、教育などへの応用(遠隔医療や診断システム、遠隔講義など)、が求められますし、山陰地方でその活用は大いに期待が持てると思います。  

「攻めの政策」 

これらを「高齢化」「過疎化」を前提とした「守りの政策」だとするなら、一方で、さらに進んで情報のインフラを利用した「攻めの政策」、インターネットによる就労支援(SOHOなど)や産業振興・支援政策も欠かせないでしょう。

 その象徴はハイテク産業の誘致を目指すソフトビジネスパークだと思いますし、また過疎地域と言われるところでも、インターネットを利用した産業政策は若者の定住化、U・Iターンの促進につなげることも可能でしょう。そうすると冒頭の前提にも歯止めをかけ、さらにその流れを逆転することだって可能です。

「みなさんの努力」

 繰り返し、経済学者は未来を予言することはできませんが、
  one hand........ ,on the other hand........、
仮定に基づく将来像を描くことは可能です。その仮定とは上記の政策と、これを実行に移す、地域における行政、産業、住民、お年寄りまで含めたすべてのみなさんの努力に他なりません。 

 そしてもちろん、大学も(経済学者も)協力していくつもりです。

 

2001年11月取材