【連載#07】石津 南美(いしづ なみ)さん
今回の元気人は、「島根県立身体障害者授産センター」でパソコンを使った印刷関係の仕事で頑張っている『なーちゃん』こと石津南美さんです。 なーちゃんは、生まれつき身体に重度の障害があり、歩くことも手を使うことも話すことも不自由です。 私は、正直、これまで障害者の皆さんを見かけると、どちらかというと目をそらせたり戸惑ったりしてしまうことが多かったと思います。どう接してよいのか解らなかったのです。
なーちゃんと初めて出会ったのは、今年5月に開いたtm-21オフ会でのこと。本当に屈託無く明るく元気に人生前向きに生きている彼女の姿に接し、当たり前のことながら、極々自然体で接すれば良いことに気づくとともに、むしろ勇気づけられたのは私たちでした。 今回、この元気人!紹介コーナーへの投稿依頼にも快く応じていただきました。 不自由な左手の指三本で一文字一文字をキーボードで入力しながら書いていただいたものです。 『なーちゃん!本当にありがとう!』 by tm-21.com 宮崎 照
名 前 : 石津 南美(いしづ なみ)
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■チョット気になること
小さい頃から、外に出るのが大好きでよく両親や兄に連れられ近所を散歩したり旅行に行ったり。聞けば、私が子供のころは、今の時代と違って家族に障害児がいることを隠す人もいたとか。その点、私の家族はオープンだったかも。そのおかげで、今も外に出るのが大好きです。
最近は、みなさん結婚して一緒に遊ぶ友達が少なくなったけど、それでも時々時間にゆとりがある友達を誘ってはコンサートや買い物に行ったり、何か面白そうな、でも私しか興味がないイベントでも、ちょっとだけ強引に「一緒に行って!」と頼むこともしばしば。でも、帰るころには友達も楽しそうにしてくれて誘ってよかったなと思ったりします。
だけど、1つ引っ掛ってることが。
私も友達も「ボランティアしてる・されてる」という感覚は全然ないのに、出かけた先で久し振りに会った人とかに挨拶もそこそこに「今日はボランティアさんと?」と聞かれること。
きっと何気なく聞かれるんだと思うけど、なんとなく良い気持ちじゃないな。私はこういう身体だし、ほかの障害者の方はボランティアさんの助けで外出される人もおられるから、そう思われてもしかたないなっと思っているけど、友達は決まって不思議そうな顔で私をみます。そしてあとから決まって「友達同士なのにね、なんでだろう?」と言ってきます。こういうのって、どうなんでしょう?
自分一人で外出が出来ない障害者は、家族やボランティアさんとじゃないと外出できないと思われてるのかな?もしそうなら、すごい悲しいことかも知れませんね。
なーちゃんに作ってもらった
私の名刺です。
■私の仕事
外に出る事も大好きだけど、もう1つ2つ仕事にも繋がってることで、絵を描いたり詩を書いたりする事が好き!というか「下手の横好き」なんですけどね・・・。
私の仕事は、島根県立身体障害者授産センターで印刷関係の仕事をしています。主に名刺とかハガキ・チラシ・ポスターを作ってます。デザインの仕事って言ったほうがいいのかな?印刷する前の版下を作ってます。 他にも、いろんな科があり色々な製品を作って沢山の人に私達が作った製品を1つでも多く手にしてほしいと思いながら仕事してます。
とは言え、私は今の仕事になってまだ5・6年?まだまだ失敗ばかりしてます。m〔__〕m。 ずっと趣味感覚でやってたけど、これじゃいけないと思い(?)今年の2月からカラー検定という通信教育を始めてみました。が、現在止まってます。(^_^;)
思ってたより難しいのと、飽きっぽい性格なのかここ1ヶ月ぐらい放ってる私。でも、みんなに「通信教育しま~す」と宣言しちゃってるし、お金がないのに始めたんでそうそう簡単に投げ出すこともできないので、そろそろ再開して梅雨明けまでには一区切りつけようかと思っているとこです。
■私とインターネット
何に対しても、良いか悪いかすぐハマってしまう私。遊び半分で始めたHP(ホームページ)も、今は仕事より一生懸命になってるとこがあるかな。
インターネットを始めて4・5年になるけど、昔から絵本のような詩集が作りたいという夢があって一時作りかけたけど色々問題が出てきて諦めていました。が、インターネットをするようになって何となくいろんなHPを見てたら「じゃHPを作ればいいじゃん!」と突然目覚め自分で作ったというわけです。
とは言え、何をどうしていいか分からず最初はメル友にメールで聞きながらソフトがなくても出来る簡単なHP作りから始めました。思ったより、すぐ出来た上、想像以上にいろんな人が遊びに来て掲示板に書き込んでくれて、ただ見てるだけより随分世界が広がったような気がします。(-_-:)
そうこうしてるうちに、もっと絵や写真を入れて詩をもっとみんなに読んでほしくなりパソコンを買い替えた時に作成ソフトも入れ「さぁ作るぞ!」と勢い良く始めたもののHPの作り方?ソフトの使い方?が解らず3ヶ月もかかってしまいました。 それまでに、人からプレゼントされた解説書をみながら、それでも解らず同じソフトを使ってる人をネットで探して掲示板やメールのやり取りだけで教えてもらったり。途中で諦めようかと思いながらなんとか完成。
イメージしてたのとかなり違ってたけど、始めて作った割にはまぁまぁの出来だったかなぁ。それからは、ほんとに仕事より一生懸命になってしまってます。(笑)(でも、近頃ちょっとサボり気味(^_^;))
2つ目のHPを作って、それまで以上にたくさんの人に見られ、書き込みやメールをもらうようになって何となく1人じゃないんだな~と思い、毎日仕事から帰ってネットに繋ぐのが一番の楽しみです。
ただ、仕事でもPC、帰ってからもPCの前にいるので「目が悪くなる!」と母に怒られることもあるけど。最近、母は言っても聞かない私に呆れ顔です。 ん~、でもいい加減にしないといけないと思ってはいるものの・・。
なーちゃん作のイラスト
■ネットで広がる友達の輪
私はいつも、自分のことをネットでも隠す事をしません。たまに「なんで姿が見えないのに、障害の事を書くの?」とメールで聞かれます。うむ?「なんで?」と聞かれても。当たり前じゃないの?
姿が見えないからこそ、本当のことを書いて自然体で話すのが当然だと思う私。車椅子だってこと・左手だけそれも少ししか動かないこと・言語障害があること・・・。これらを隠さず書くのは、全部、いつか会える日が来る時のため。会った時、少しでもびっくりされたり、がっかりされないように・・・です。
それにしても、ネット絡みの事件が多いのなんとかなりません?‘〔^~^〕’
一時期、ニュースを見れば新聞を開けば毎日のように「ネット犯罪・・・」という見出し。どんな事件も勿論だけど、ネット犯罪は特に腹が立ってしょうがない私。
こういうのがあると、せっかくネットで知り合えた人に対してどこか警戒心を持たないといけなくなるし、会う事になっても1人で出かけられないから家族や友達の協力が必要で、私より周囲の人達のほうが警戒心が強いトコあるかな。
だからというか、頼むたび「良い人だから・・心配ない・・・」ことを必要以上に説明しないといけないし、なかなか自分の思いが分かってもらえなかったり、その人の良さをうまく伝えられなくて時に「なんでよ!」と癇癪を起こしそうになってしまいます。と同時に、説明するのに結構体力消耗してしまうとこもあって会いたい人がいてもなかなか周囲に「会いたい人がいる」と言い出せなくなっているのが実際のところ。
と言いながらも、今まで友達の協力で何人かのメル友に会ってきました。
何かのイベントがあるときに待ち合わせたり、仕事先に来てもらったり、オフ会に参加したり・・・。
どの人もみ~んなメールでイメージした暖かい人達で、会うまでドキドキだったけど会ってよかったなぁと思う人ばかりでした。これからも、もっともっといろんな人に会って、もっともっといろんなとこに行ってみたいと思ってます。
実は今も、どうしても会いたい人がいたりします。(〃^_^〃)
なので、自分の気持ちをちゃんと周囲に伝えられるようになるのは当然大事だけど、同時に少しでも人に警戒心を持たなくてもいい社会になってくれることを願ってます。と、ただ願って待ってても時間がもったいないですよね?
じゃ、どうしようかなぁと考えているとこです。
そこでというか、私のHPを見てくれる人達に「もっと優しくなろうよ♪」なんて偉そうなことを言うつもりはないし、自分の思ってることをそのまま書いてるだけど、なんとな~く、でも私の思いが伝わればいいなぁって思う今日この頃です。
島根県立身体障害者授産センターのみなさんの作品・製品紹介です。詳しくはセンターのホームページで。
■仕事について
最後に,チョットだけお仕事のコマーシャルです。
施設全体、色々な物を製作して製品化しています。
詳しくは、
- 島根県立身体障害者授産センター
- 690-0131 松江市打出町43 TEL0852-36-7888 FAX0852-36-7667 までご連絡ください。
ちなみに、私がやってる印刷のことは担当者・川上まで!!
一生懸命、作らせてもらいます♪〔*∩_∩*〕
2002年5月取材
~いろんな人に会いたいなぁ~