【連載#35】足立則子(あだちのりこ)さん

日本ソムリエ協会認定ワインアドバイザーは、街の気さくなワインアドバイザー

日本ソムリエ協会認定ワインアドバイザーの足立さん

【今回の元気人】
日本ソムリエ協会認定ワインアドバイザーの足立さん 。優しい笑顔からはワインへの愛情が感じられます。

酒屋さんでワインを選ぶとき、「何がいいのか分からない」、「旬なワインは何?」など、聞きたいことがいっぱい。そんな人たちに親切な対応をしてくれて、リクエストに応じてくれるのがワインアドバイザー。

米子市内にあるワインショップ「葡萄屋」。足立則子さんは、このお店で様々なお客さんの、「飲みたいワイン」、「送りたいワイン」をチョイスしてくれる、気さくなワインアドバイザーだ。

(取材・文章 多々納)

 

”立ちきゅう”「O2」

店内には足立さんがセレクトした数々のワインが並ぶ。その隣にはワインの“立ちきゅう”「O2」がある。「チーズをつまみにちょっとワインを引っ掛けたり、試飲ができたり。そんな感覚でやってます。」ロフト風の二階には最高で15人ぐらいが入れるスペースも。

「ご近所の飲食店と契約して、ケータリングでのちょっとしたパーティーや、ワイン会ができますよ。結構使っていただいてますね。」丸みを帯びた天井はワイン樽をイメージしたものかと思いきや、実は純和風造り。山陰地方独特の造りである。

立ち飲みワインのお店「O2」

立ち飲みワインのお店「O2」は足立さんの世界。二階スペースは和と洋がうまく折り合った空間となっている。

「実は、主人と結婚するまで、あまりお酒と縁がありませんでした。両親が飲まなかったこともあって、“晩酌”という習慣も無かったんですよ。」 お酒とほとんど縁の無かった足立さんが、何故ワインアドバイザーに? 「酒屋を営むご主人と結婚。しばらくして、勤めていた会社を退社後はお店を手伝っていました。店番をしていると、お客さんに色々と聞かれるんですよ。でも全然答えられなかった。決定的だったのは、あるラジオ取材のとき。 「これは何ですか?」と聞かれたんですが、答えられなかった。 “ロゼ”っていう種類さえ知らなかったんです。後で主人に叱られました。」と笑いながら当時を振り返る。

ワインアドバイザー

そんな時、“ワインアドバイザー”という資格があると知人から聞かされる。
「山陰で他にはいないと聞いたので、とりあえず飛びつきました。実際には1人いらっしゃったのですが、必死で勉強しましたね。」 93年に念願のワインアドバイザーを取得した足立さん。しかし、それが逆にプレッシャーになった。 「変に力が入っちゃって、(資格を)取った事を後悔した事もありました。結局、机上の勉強しかしてなかったんですよね。そんなときでした。タイミングよくフランスへ視察できる機会が出来て、2週間行って来ました。ワイン漬けになって、後半は辛かったんですが、ワインを“体験”することができました。」 その後、空前のワインブームの只中、NHK文化センターの講師になった足立さん。

ワインの夕べ」でも講演

昨年11月、パルメイト出雲で行われた「ワインの夕べ」でも講演。ボジョレーヌーボー解禁の日でもあって、大いに盛り上がった。(写真提供:パルメイト出雲)

「ワイン会は自分が楽しむ場でもあります。何よりワインを通じて色々な人と出会える。ワイン好きな人は向上心の高い人が多いと思います。お会いする度にワインはもちろん、その方の環境までレベルアップしていることもありますよ。」最近では、米子以外のワイン会にも積極的に参加している。「あちこちで、色々な方とお会いするのも楽しいですね。」ワインを通じての出会いが、何よりも楽しいと語る足立さん。

 そんな足立さんがいつも心掛ける事は、「いかに色々な人に楽しんでもらえるかを考えています。ワインに興味はあるけどなかなか入ってこられない人が、もう一歩踏み出せるような場所作り。例えば試飲の時などは、極端に種類や味の違うものを用意します。最初にはっきりとした違いを分かってもらう。そうすると特徴などが分かりますよね。そこからまたそれぞれの味の違いなどが分かると、自分の好みの味が見つかって、どんどんはまり込んでいくんです。最近では、私より詳しい人もいるんですよ。」

 「個人的にはプルゴーニュが好きです。“開けてみないと分からない”的な魅力ですね。葡萄の種類や年代、生産国など、ワインの楽しみ方は無限大。お客様、一人一人に合ったアドバイスができればいいですね。」

2005年3月取材