株式会社アドコン(松江市八雲町)【連載#30】

超低価格な非常通報装置を開発・ネット販売する株式会社アドコン

【今回の元気企業】 株式会社アドコンは、低価格・短納期・充実サポートがモットーの通報装置の専門メーカーです。。

【今回の元気企業】 株式会社アドコンは、低価格・短納期・充実サポートがモットーの通報装置の専門メーカーです。

県都松江市に隣接する八雲村。出雲文化発祥の地として知られるこの村に「低価格・高品質・シンプル」を目標に掲げ、インターネット販売で全国へ発信する会社があります。非常通報装置を開発する株式会社アドコン。

「おそらく日本一小さなメーカー」と話す宇山伸社長は、「小粒でピリリと辛い特色のある会社」を目指しています。  

(取材・文章 高野 朋美)

■低価格の非常通報装置を開発

非常通報装置「White Lock110

非常通報装置「White Lock110」。 一般的には機械設備の監視、防犯用途等です。

非常通報装置は、自動制御装置の異常や故障を離れた場所で監視したり、建物への不法侵入を自動通報する装置。特殊用途である通報装置はこれまで“高価なもの”として考えられていましたが、宇山社長が目指してきたのは「日本一低価格」で「高品質」「シンプル」、そして「簡単に設置できる」通報装置の開発です。

同社がこれまで開発した通報装置は20種。他メーカーの同様のものと比べると、価格はいずれも三分の一程度。自社の製品や装置に組み込んで付加価値を付けたい。余分なお金はかけたくない。自分の身は自分で守りたい-。そんなニーズに受け入れられ、「通報装置ならアドコン」と注目を集めるまでになりました。

では、なぜ低価格なのか。会社を訪ねるといくつかのキーワードが見えてきました。

■製品価格は材料費と人件費のみ

非常通報装置「White Lock110」。

非常通報装置「White Lock110」。 一般的には機械設備の監視、防犯用途等です。また、着信処理で機器の操作が可能です。

カタン、カタン…。部品を組み立てる音が響きます。とはいえ、製造に携わるスタッフは2人。そのほか開発スタッフ2人と宇山社長。出先スタッフ2人を加えてもわずか7人。これだけで開発、製造、品質管理、販売まですべてを担っています。

電子部品などすべての材料は現金仕入れ。「安いところを一生懸命探し、原価を下げ、低価格化の努力をしています」と宇山社長。不況の時は部品を安く仕入れる絶好の機会だと言います。出来上がった製品はコンパクトで、仕様はシンプルです。

販売はインターネットが窓口。営業費用がかかりません。カタログもマニュアルもありません。「すべてホームページで公開し、必要ならば印刷するなりハードディスクに保存するなり、お客が負担できることは自分でしてもらっています。マニュアルを作るのに500円かかるなら、製品を500円安く売った方がいい」と、無駄なものは徹底的に排除する姿勢が伺えます。確かに、ハードディスクなら必要項目を簡単に検索することができ、分厚いマニュアル本をめくるより断然便利です。

■インターネット販売で全国へ発信

非常通報装置「Checkmate1」。

非常通報装置「Checkmate1」。 一般的には機械設備の監視、防犯用途等です。

インターネット販売だから、田舎の小さなメーカーから発送しても翌朝には東京のユーザーの手元に届きます。欲しいときにすぐに届く。ネット販売の魅力の一つです。

「ネット販売には高速回線のインフラが不可欠です。そして、宅配業者がニコニコいつでも来てくれることも大きな要素。この二つが整っていれば、田舎にいても全国に発信ができます」。ノウハウを身に付けた宇山社長は、今後のさまざまな展開に自信をのぞかせます。

■インターネット販売を始めて6年

株式会社アドコンが力を入れる自社サイト

「人が喜ぶのを見るのが、私の喜び」と話す宇山社長。6年間で得たインターネット販売のノウハウを生かし、「そろそろ新しいものを考える時期にきている」と言います。頭の中では新しいアイデアが生まれているのかもしれません。

  目標は「小粒でピリリと辛い特色のある会社」。従業員30人、売上高30億円、経常利益10億円を目指し、地方から発信し続けます。

■今回掲載した企業 データ

社名
株式会社アドコン
住所
〒690-2101
島根県八束郡八雲村日吉3-24
TEL
0852-54-2036
FAX
0852-54-2196
メール
advance@adocon.co.jp
URL
http://www.adocon.jp/

 

 

2005年2月取材