鎌田組(島根県出雲市)【連載40】

自然薯(じねんじょ)栽培で建設業から農業分野に挑戦 !

鎌田組で栽培した自然薯

【今回の元気企業】
有限会社鎌田組 (鎌田 実社長、出雲市今市町317-2、ホームページ

建設業から一転、新たな事業に挑んだ鎌田組(出雲市今市町)。

今年から自然薯(じねんじょ)栽培を手掛け、この程初の収穫を迎えた。

ゼロからのスタートだった農業参入の苦労話とこれからの抱負について、鎌田社長が語ってくれた。  

(取材・文章 多々納)

建設業界から農業への新規参入

「農業は自分で仕掛けることが出来る。公共工事は待っていないと仕事が出来ない」 鎌田社長が農業への参入を決めた最大の理由だ。

昭和47年の創業以来、上下水道等の公共事業、9年前からはリサイクル事業を手掛けてきた。しかし、公共事業が減少の一途を辿る事から、新規事業の展開を強いられることになった。 「何をやればいいのか。あちこち見て回りました。カブトムシ、ダチョウなんかも見て来ましたよ。」

そんな中、鎌田社長が目をつけたのが自然薯だった。実は出雲市稗原町にある同社のリサイクルセンターは標高が250mの高地で、寒暖の差が大きく土質も良い。周囲の山々に天然の自然薯が生息しているのが何よりの証明だった。

↓標高250mの出雲市稗原町にある鎌田組自然薯畑鎌田組の自然薯畑(出雲市稗原町)

自然薯は日本原種

自然薯は特殊な筒の中で栽培される

自然薯は、古来より日本の山々で自生していた山芋。自然に自生しているから“自然薯”と呼ばれている。古くから、峠を越える旅人にふるまわれるなど、滋養強壮の効果があるといわれている。

ナガイモなど、外来種が多く存在する中、自然薯は日本原種の植物である。独特の風味は山の香りそのもので、まさに出雲の山の風味といったところ。 

とろろ飯やとろろソバなど、生の風味を味わうのはもちろん、天ぷら等、加熱しても力強い山の香りを充分に堪能できる。

畑造り

収穫期を迎えた自然薯をチェックする

こうと決めたら即行動に移すタイプの鎌田社長。山口県で35年に渡って自然薯栽培を行っている政田自然農園に技術指導を受けながら、一連の作業に取り組んできた。 

限りなく自然に近い環境をつくるため、畑の造成時は約30㌃の山を切り開き、排出された土を利用している。立木付近の土は雑菌が多いこともあり、地表から3mの表土は全て捨て、無菌に近い山の中の土を更に厳選し籾殻と混ぜたものを利用するなど、徹底している。いいものをつくるための努力は全く惜しんでいない。

人間にとって美味しいものは猪にとっても好物。その対策には鎌田組ならではの対策が講じられている。建設工事で余ったコンクリート製のブロックを畑の周りに敷きつめ、猪が侵入できないようになっている。 

収穫した自然薯の保存にも一工夫。畑を造成した際に伐採した雑木をおが屑にして乾燥させたものと一緒に冷蔵保存。これで長期保存が可能となる。

自然を知り、自然に頼る

鎌田組で収穫した自然薯

鎌田組で初めて収穫した見事な自然薯

全てが手探りだったこの一年、やっと収穫にこぎつけた鎌田社長は、「長年やってきた方達でも、収穫率は8割ということです。猪対策、冬の雪、病気など、まだまだわからない事だらけ」と改めて農業参入の難しさを実感している。また、殆どの作業を機械で出来る土木作業に比べ、農業は全く逆。慣れない手作業に社員が総動員する日もある。 

しかし、念願の収穫を迎え、会社全体としても士気が揚がり、この一年の経験が自信につながったようだ。

「地元の土や水で育った自然薯は、間違いなく出雲の山からの贈り物。名産になって欲しい」と期待に胸を膨らませる鎌田社長だ。

社名
有限会社 鎌田組
代表者
鎌田 実 社長
設立
1972年(昭和47年)12月
住所
島根県出雲市今市町317-2
TEL
0853-22-6970 / fax 0853-22-6935
資本金
2,000万円 
メール
お問い合せ先 
URL

(公式サイト)http://www.e-kmd.jp/ 

(自然薯通販サイト)http://jinenjo.e-kmd.jp/

 

 

2005年12月取材