井上 淳(いのうえ あつし・島根県東出雲町)さん 【連載#46】
【今回の元気人】 岩手県の起業家の方からプレゼントされた「夢半纏」を羽織った井上 淳さん(島根県八束郡東出雲町在住)
『自分達の故郷を、ゲームの舞台として全国の人に楽しんでもらえないか?』
そんな夢を抱き、実現させるべく活動しているのが東出雲町在住の井上淳さん。
夢への思いを語ってもらった。
(取材・文章 多々納 健一)
「出雲百綺譚(いずもひゃっきたん)」って何?
記念すべき第一作。「出雲百綺譚」は、ホームページから楽しめる
「聞きなれない言葉だと思いますが、簡単に言えば、出雲を舞台としたゲームです。 地元にまつわる不思議な云い伝えや捜索した物語をゲームとして楽しむ企画です。例えば、地元のおじいちゃんとおばあちゃんの若い頃の恋愛話などをゲームとして展開していくような電子小説的なものです」
綺譚とは、文学者で小説家の永井荷風による造語で、珍しくて奇怪な話という意味である。井上さんは、出雲にまつわる“綺譚”を100話集め、それをゲーム化するという。
「最初は、“出雲綺譚”でしたが、100話集める事を目標としたので、“出雲百綺譚”としました」
夢しか実現しない
井上さんが「地元を舞台としたゲームを作りたい」と思い始めたのは高校生の頃。その当時はスーパーファミコンなど、今のゲームの礎が出来上がる時だった。
「ゲーム製作者になるつもりはありませんでした」と話すように、大学を出た井上さんは、一般の企業に就職。数年後、父親の経営する会社でホームページを企画制作する仕事を担当。忙しい毎日を送る中、ゲームへの思いは頭の中にはあったものの、「実現化」は遠ざかっていった。
そんな中、ある方の誘いで、財団法人しまね産業振興財団が主催した「しまね起業家スクール」に参加。講師の福島正伸氏が講習のテーマとしている「夢しか実現しない」という言葉で、井上さんの“眠っていた思い”が目覚めたのだった。
動き出した「出雲百綺譚」
東京麻布十番の人気レストラン「カシータ」でのプレゼン。大盛況だった
第2期しまね起業家スクールで、地元ゲーム企画を発表。
その内容も評価されたのだが、それ以上に反響があったのが、プレゼンで流した予告編のフラッシュムービーだった。それが仕事として成立し、一人歩きし出したこともあり、またも企画が薄れつつあった。
しかし、それを引き戻したのが、「あれ、どうなった?」という周囲の声。それに後押しされたこともあり、大阪の団体が主催するビジネスプラン・コンペティション「edge2006」に応募するため、作品を制作した。 記念すべき「出雲百綺譚」の第一作の誕生した瞬間だった。
更に、岩手県や全国の起業家等が集まる会が東京の麻布十番にある人気レストラン「カシータ」で行われ、井上さんもプレゼンテーションを行った。
「次の第二段は、12月25日、インターネット上で発表します。ストーリーは島大の総合文芸部の3人にシナリオを書いてもらいました。テーマは“2000年の恋”。神話時代から続く愛の物語を一話完結の形で作っています。ゲームファンだけでなく、地元の人達、小学生から年配の方達に楽しんで欲しいです。目標は、『ゲームで世界を変える』です」
本格的に動き出した「出雲百綺譚」。井上さんの挑戦が楽しみだ。
ホームページ&お問合せ
井上淳ブログ:「気分はカフェオレ」 http://plaza.rakuten.co.jp/sejob/
井上企画HP: http://www.wellup-corp.co.jp/
出雲百綺譚HP: http://homepage1.nifty.com/vyb10466/kitan/
出雲百綺譚に関するお問い合わせ vyb10466@nifty.com
2005年12月取材