株式会社 井ゲタ醤油(島根県出雲市)【連載#41】
【今回の元気企業】
株式会社井ゲタ醤油 (井上 克夫社長、出雲市浜町1070)
創業94年を迎えた井ゲタ醤油、今でも製造方法は昔のままの伝統製法を引き継いでる。
日本の味として食卓に欠かせないのが醤油。
おそらく、どの家庭にも必ずと言っていいほど置いてある日本の味である。
その醤油の味を約100年に亘って地元で守り抜いてきた株式会社井ゲタ醤油。
四代目の井上克夫社長に、その歴史とこれからの挑戦について聞いてみた。。
(取材・文章 多々納 健一)
一所懸命つくったものだから一所懸命売る
井ゲタ醤油の商品群。用途別にバラエティに富んでいる。
井上社長から開口一番出た言葉だった。昨今、食品に対する目が疑心暗鬼になりつつある中、「一所懸命につくる」という言葉は頼もしい。
「メーカーがきちんと製品を出すことこそ、本来の姿のはず、自分達の製品を一所懸命につくり、それを一所懸命に売るのが本来の食品メーカーの姿です」と言い切る井上社長。
自身も、最初の5年間は工場で醤油醸造のイロハを学んだ。
「醸造はおもしろいですよ。自分の手をかければかけるほど美味しくなる。まるで子供ですよ」と、醤油醸造の楽しさを話す井上社長が唯一つ、残念に思うことが、「お酒の杜氏さん達と違って、醤油を作っている人は決して表に出ない。将来は作っている人にも注目してもらえるようにしたいですね」
国内でも数ある醤油メーカー。特に全国的なシェアを持つ大手に挑戦するには、製品への自信がないと出来ないこと。その自信が、地元ユーザーの信頼になるのだろう。
東京進出
地元に支えられてもうすぐ百年を迎える
地元で愛される井ゲタ醤油。実は首都圏の一部でも販売されている。
「中身では負けると思っていなかった。取り扱って頂いたお店の方と相談しながら、パッケージを含めた、商品全体を売ることで、徐々に理解していただいています。実際に買っていただいたお客様が口こみで別のお客様に伝えていただいているようです。」と、東京の販売店様との打ち合わせは勉強になることばかりということだ。
また、井上社長はこうも話す。「今、中央の小売店は“良い物”を探しています。そういう面では、地方の中小の食品メーカーがチャンスかもしれないですね」
JCの活動を通して積極的なボランティア活動
会社の業務と平行して、青年会議所の活動にも情熱を注いでいる井上社長。ボランティアへの意識も高く、行動力も早い。
昨年の新潟で起きた大震災直後も、仲間数人と大きな釜を持って現地の炊き出しに参加した。「気が付いたらトラック一杯に材料を積み込んで出発していました」と、あっけらかんと話してくれた。
創業100周年に向けて
ものづくりの原点。井ゲタ醤油はここで作られる。
最近、ある縁から中国でも販売を開始した。日本に本社を置き、中国で食品店を展開している「しんせん館」の社長の考えに共感したものだった。中国に住む日本人向けの商品として昨年の10月頃から、各店舗にて販売している。
東京へ、海外へと着実にその販売ルートを広げている井ゲタ醤油。6年後には100周年を迎える。
「ありがとうございます、これからもがんばります、という気持ちを込めた何かをやりたいと思っています。井ゲタ醤油を支えてくれたのは、何よりも出雲の人々。地元の方に感謝の心をこめた、意味のある事をやりたいと思っています。」
日本人の味、出雲の味を守る井ゲタ醤油に、これからも注目したい。
企業 データ
社名 |
株式会社 井ゲタ醤油 |
代表者 |
井上 克夫 社長 |
設立 |
大正元年創業 |
住所 |
島根県出雲市浜町1070 |
TEL |
0853-21-1300 / fax 0853-21-1317 |
メール |
info@izumo-igeta.co.jp |
URL |
公式サイト(通販サイト) |
平成17年12月取材