山根梶夫さん(やまね かじお・島根県平田市)さん 【連載#52】
【今回の元気人】
山根梶夫さん(71、やまね かじお)さん
【定年後をどう生きるか】 定年後の第二の人生をどう生きるかの第2弾です。シニアライフにヒントを与えてくれそうな、山陰の元気人にスポットを当てて見ました。
(取材・文章 伊藤 晴之)
ボランティアという生き方
山根梶夫さん(71)は53歳で自衛隊を定年退職後、地元の企業で働いておられましたが、「高齢者の仲間入りをした自分でも何か地域の役に立てれば」という気持ちから、仕事を辞められた後はボランティアで高齢者宅へ弁当の配達などをされていました。
配達をしながら、高齢者の生活を目の当たりにした山根さんの気持ちの中に、「高齢者への対応はこのままで良いのか。」という思いが湧いてきました。公共交通機関の発達していない地域の人たちは、病院に通うのも大変な労力と費用を要します。
「年金で生活する高齢者には負担が大きすぎる。この人たちのために何かできないか。」そんな時出会ったのがボランティア団体たすけあい平田(熊谷美和子理事長)でした。
(写真提供:NPO法人たすけいあい平田)
たすけあい平田って
たすけあい平田は、市民が「こまったときはお互い様」の気持ちで助け合おうという趣旨で平成4年10月にスタートしたボランテイア団体。平成12年4月1日よりNPO法人になりました。
その取組みと活動が評価され平成16年11月に「毎日介護賞」(毎日新聞主催)を、平成18年3月には「県民いきいき活動奨励賞」(島根県主催)を受賞しています。会員数約610人(平成18年4月15日現在)
70歳で2種免許合格
車椅子を使っての乗降介助の練習
(写真提供:NPO法人たすけあい平田)
たすけあい平田でヘルパーをしていた奥さんの勧めもあって、すぐに会員になると、67歳でヘルパー3級、68歳で2級資格を取得。
たすけあい平田の有償移送サービス事業参入に伴い、70歳で普通自動車2種免許に挑戦、見事合格を果たされました。
熊谷理事長も「何事にもとても熱心な人。」と賞賛するほどの努力家です。
「細かい気配り、心配りができる人。」(職員談)
「女性の苦手な車の点検や整備も気軽に教えてくれる頼もしい人。」(会員談)と女性陣からも信頼されています。
山根さんはこのほかにも社会福祉協議会のボランティア会員、生活支援員も兼任され、高齢者の移送はもとより独居の高齢者宅の大掃除などを行なって、職員や会員はもとより地域の人たちからも頼りにされる存在となっています。
長続きの秘訣
山根さんにボランティアを長く続ける秘訣を聞いてみたところ
「体力と気力の持続です。」という答えが返ってきました。
自らも高齢者である山根さんは、時々「疲れたなー。」と体力の衰えを感じる時が多くなったといいます。それを補うのが気力だそうです。「自分を必要としてくれている人がいる。」と思うと元気が出てくるそうです。休養を充分に取って、時には仲間と趣味のゲートボールを楽しみながら、体の動くうちは続けて行きたいと話してくれました。
ボランティアに参加する喜び
今日、日本人の三割は何らかのかたちで、ボランティアの経験があるといわれています。
しかし、「いざ始めてみようと思ったが、自分に何が出来るのか、何処へ行ったら良いのか分からない」という人たちの数も多いようです。
「そんな時は迷わずたすけあい平田に電話をしていただきたい。(出雲市以外の人でも可)」「スタートした時は1人でした。」という活動できる男性会員も今では8人に増えたそうである。
「家にいるよりはずっと楽しくなります。」と熊谷理事長。
「『ありがとう。助かりました。』そう言われたときの嬉しさは、お金や物には変えられません。」と山根さんは笑顔で話を結んでくれました。
ほんの少しの勇気と思いやりがあれば、第二の人生も楽しく有意義なものになるはず。腰が重くなる前に動き出してみてはいかがだろう。
NPO法人 たすけあい平田 プロフィール
- 住所 島根県出雲市平田町2112-1
一畑電鉄雲州平田駅より徒歩5分
福祉館3階(バスターミナル前) - 電話番号:0853-62-0257
- FAX番号:0853-62-0258
- 代表者: 熊谷美和子
- ホームページ http://www.npo.lsnet.ne.jp/tasukeaihirata/
- メールアドレス npotasukeaih@go3.enjoy.ne.jp
平成18年4月取材