いづも屋 新社長 吉岡佳紀さん(島根県出雲市)【#連載60】
【今回の元気人】
モロヘイヤ直売センター
農業生産法人 株式会社いづも屋
新社長 吉岡佳紀さん(1965年生:41歳)
出雲平野で、栄養価の高い野菜「モロヘイヤ」を直営農園で生産販売をしている株式会社いづも屋 新社長 吉岡佳紀さん(41歳)を尋ねた。
今年(2006年)8月、約13年間勤めた島根県庁職員という安定した公務員の職を捨て、新社長として、しかも全く畑違いの新しい分野<農業生産法人>の企業経営に飛び込んだという変り種。
桂望実:著、織田裕二・柴咲コウ主演で話題となった映画「県庁の星」ならぬ「県庁の流れ星」物語。
吉岡佳紀さんの「モロヘイヤ」にかける熱い情熱と「・・・・・流れ星ストーリ」について楽しいお話を聞いた。
(取材・文章 tm-21.com)
↑6ヘクタールの広~~い 直営モロヘイヤ畑
モロヘイヤ
株式会社いづも屋の本社は、一畑電鉄川跡駅のすぐそば、思ったより大きな社屋でした。
十年近く前、「モロヘイヤ」は健康野菜としてブレイクした時期があった。
原産国はエジプト、なんでも病弱な王様がモロヘイヤスープで健康を取り戻したとか。クレオパトラも食していたかもしれない?
当時、王様の野菜としてブームになり、なんと食物繊維はレタスの20倍、日本人に不足がちのカルシュウムも牛乳の2.4倍というから、スーパー野菜として有名になるのもうなずける。
家庭菜園でもモロヘイヤブーム、しかしブームというものは、はかないものだ。
どう料理するかわからない。
ゆでて刻むとネバネバがいっぱい出てくる。
現在はこのネバネバ成分(ムチン)がよいとされているが、当時結構気持ち悪かったものだ。
「モロヘイヤ」はとても元気な野菜、高温・乾燥にも強く、刈り取っても次から次へとのびて6月ごろから10月まで収穫できる。
しかし、葉物野菜、生での保存が利かない、どうやって加工して、製品にしていくのか疑問に思いつつ、会社を訪問した。
社長 吉岡佳紀 という男
いづも屋スタッフのみなさん。新社長の評判も上々!
一畑電鉄 川跡駅のすぐそばに、思ったより大きな社屋があった。
声をかけると、若い女性スタッフがたくさんいる。農業生産法人というから、ご近所のおじちゃん、おばちゃんがいるものとばかり思っていた。
社長 吉岡さん(41歳)、にこやかな丸顔はどう見ても30台半ばに見える。
「若く見えますね」
「この仕事を始めてから、若返ったといわれます」
明るく元気なお兄さんという第一印象だ。
大社町出身。
成長するにつれ、どんどん寂れていく大社町をさみしく思っていた。
大学卒業後「デイズニーランド」に就職、日本一のレジャーランド、ここでのノウハウが、いつか大社町活性化に役立つと考えていた。そして、いずれ、ふるさとに帰ろうと思っていた。
若いときから、ちょいと思い込みの激しい性格らしい。
デイズニーでお土産販売2年、お土産品企画4年。いつもいつも、ミッキーマウスの耳が頭から離れなかった。
6年後、縁あって島根県庁に再就職、はじめは両親が県職員だったということもあり、魅力は感じなかったようだ。
しかし、思い込みの激しい性格が幸いし、農業担当、県立中央病院移転担当、ソフトビジネスパーク立ち上げなど様々な仕事と出会いで頭はいっぱいになる。
どうやらどんな場面でも楽しむことが得意技らしい。
県庁の流れ星
大地の栄養分をたっぷり吸収して成長したモロヘイヤの収穫。
県職員13年の最後の職場が県庁産業振興課、ソフトビジネスパークを担当し、ここで「起業家スクール」を立ち上げ、サポートしていた。
「起業家スクール」はこれから起業したいと思っている人、会社を立て直したい人たちが参加する「ビジネススクール」。
ここで、「株式会社いづも屋」、「モロヘイヤ」と出会った。
当時の社長は、創業社長が急逝した後、後を継いだご子息。
創業当初、モロヘイヤブームもあって、売上を上げていたが、売上は半減状態。
何とか立て直そうと起業家スクールに参加していた。
ここで教えられたことは、「自分の好きなことを仕事にしなさい」
二代目社長、どうやら 農業・経営・販売・営業など好きではなかったらしい。
しかし、地域のために貢献する、これは思い入れがあったようで、一畑電鉄を応援しようとNPO法人「菜の花鉄道をつくる会」を設立し、代表就任し活動していた。
しかし、本当に好きなことをしたいと、二代目社長は会社を県職員吉岡さんに託し、なんと中国へ飛び立っていた。
さて、託された県職員吉岡さん、どうしたと思います。
まずは、モロヘイヤの勉強、いろいろ調べていくうちに惚れ込んだ。
県職員最初の仕事が農業だった。農業にも思い入れがあった。
大社町という範囲を超えて、島根県の活性化には「農業」「モロヘイヤ」!これだ!チャンス!
若い頃からの想いが現実のものとなっていった。
かくして、県職員吉岡さんは社長吉岡さんとなった。
NPO法人「菜の花鉄道をつくる会」の代表も引き受けた。
「自分としては興味がなかったけれど、花が咲いているのを見るときれいだ。そして、秋には自分でコスモスの種をまいた。」
これも得意技 楽しんじゃえ精神だろう。
「県庁の星」はこうして「県庁の流れ星」となった。
ちなみに、吉岡さん、こうした顛末を「県庁の流れ星」として、ブログ(代表百姓日記)につづっている。覗いてみてはいかがかな。
こだわりの野菜 モロヘイヤ
いづも屋のモロヘイヤ商品群(モロヘイヤ粉末、錠剤、ほうじ茶)
神話の国出雲からお届けしている「モロヘイヤ100」
原料のモロヘイヤは農業生産法人いつ“も屋直営農園で丹精こめて生産しています。
・・・・これは、パンフレットの文章。
無農薬・有機肥料栽培で農水省認可「有機JAS」を獲得している。
栄養価の高い野菜は連作障害を起こす。6ヘクタールの畑を3ヘクタールずつ、輪作している。
消毒しないことは雑草との戦い、大変な作業だ。
吉岡社長は「健康食品」ではなく「健康野菜」だという。
収穫されたモロヘイヤは、お茶屋さんに持ち込み、乾燥させる。
会社で、抹茶のような粉末、粉末を錠剤に加工したサプリメント、茎を乾燥させたほうじ茶と3種類の製品を作る。
会社はお茶屋さんのような香りがする。
成分を抽出した健康食品ではなく、健康によい野菜だ。
生葉では保存が利かないものを、乾燥させることで解決し、粉末・錠剤にすることでとりやすくする。
当初の疑問は解決した。「健康によい野菜」納得だ。
社長はどのように使ってもらうか、今後、提案型の営業展開をしていくと話す。
- 麺類・お菓子などに練りこんで、栄養価という付加価値を加えた食品。
- レストランやケーキ屋さんなどに営業したいと考えている。
- 家庭で簡単にできるレシピ等の情報発信、夢は大きく膨らんでいる。
ついでに
「奥様、反対しませんでした」と質問すると、
「嫁さんが最大の応援者だったんです。楽しそうに仕事をしてもらいたかった、と言いました。」
「僕、運が良いんです」
話を聞いている間、3回「運が良いんです」 数回「チャンス」と語った。
いつも前向きな姿勢・物事を楽しむという得意技、まっすぐ真剣に取り組む生真面目さ、ちょいと思いも込みの激しいところがご愛嬌。
きっと「運の神様」も微笑むことだろう。
さっそく、試してみました
お土産にいただいた、「モロヘイヤ」の粉末、八宝菜にかけてみました。ネバネバが程よいとろみを作ります。
モロヘイヤは癖のない野菜、何に混ぜても邪魔しないところが、良いですね。今度はてんぷらの衣に混ぜてみようと思う。
お茶は、癖がなくのみやすい、ネバネバもないですよ。
野菜不足の昨今、特に子供たちの食生活にありがたいものですね。女性には特に便秘に効果があるようで、何しろレタスの20倍の食物繊維ですから。
しかし、この結果は、まだ結論出ておりません。後日乞うご期待。
通信販売だけの営業展開、ぜひ一度おためしあれ。
会社プロフィール
会社名 |
モロヘイヤ直売センター 農業生産法人 株式会社いづも屋 |
代表者 |
代表取締役社長 吉岡佳紀さん(1965年生) |
設立 |
昭和62年10月 |
資本金 |
1.000万円 |
所在地 |
〒693-0014 島根県出雲市武志町755-1 TEL 0853-23-7501 フリーダイヤル 0120-783-117 FAX 0853-23-7511 メールsmile-info@izmo.jp |
URL |
株式会社いづも屋 HP |
事業内容 |
健康食品製造・販売無農薬自然農産物生産 ※モロヘイヤ直売センターいづも屋では、安心してモロヘイヤを |
平成18年9月取材