花工房ふくろう 永見早苗さん(松江市宍道町)【#連載61】

山野草に魅せられ、樹脂粘土で山野草を創作している永見早苗さんを工房に訪ねた。

花工房ふくろう

(取材・文章 tm-21.com)

花工房ふくろう 永見早苗さん 

【今回の元気人】
花工房 ふくろう
主宰者 永見早苗さん
松江市宍道町佐々布3239 
電話 090-4696-9242

宍道町の工房を訪ねたら、工房では多くの生徒さんが作品を作っていた。
10月13日(金)から10月15日(日)まで、中電ふれあいホールでの山野草寄せ植え展に向けて、皆さん作品作りに励んでいた。

工房のフロアーに、山野草の鉢植えがところ狭しと並べられていた。

自然の風景を切り取ったように、山野草が風にそよいでいるようだ。

花との出会い

永見さんが花作りを始めてから、すでに20年近くになるという。

アートフラワーを習い始め、花の魅力に目覚めた。
アートフラワーはバラのような洋花が中心、また使う粘土はパン粘土、安来の先生に習っていた。

山歩きが好きで山野草が大好き、山野草を庭に植えてもなかなか育たない。
山野草を作ってみようと思い立った。

パンフラワーでは粘土が厚く、山野草のはかなさは表現できない。
薄くよく伸びる樹脂粘土を使い始め、永見さんの挑戦が始まった。  

ふくろう

山野草寄せ植え展に向けて作品作りに励む教室生徒さんたち。

山野草寄せ植え展に向けて作品作りに励む教室生徒さんたち。

平成10年ごろ、とにかく手作りが大好きな永見さんは、布を使ってふくろうを作っていた。口コミで教えてほしいとの声に、工房ふくろうを出雲市大津に立ち上げた。その頃から、山野草も作っていた。

お花が主流になり始め、大津から斐川町そして宍道町に工房を移したのを機に「工房ふくろう」から『花工房ふくろう』に変えた。
「工房ふくろう」じゃ、ふくろうを作ってると思われるでしょう。

工房を立ち上げたものの、生徒は集まらず苦労をしたようだ。
転機はやはり情報、リビエールの取材があり、それから電話で予約が入るようになった。
また、地道に続けた展示会、足を運んでくれた方から、教えてほしいの声。
知っていただくことの大切さを実感したようだ。

教室は宍道・松江・三刀屋・大田と開催している。この日も、宍道の工房には、三刀屋・平田・出雲と各地から集まっていた。

山野草を求めて

一口に山野草というが、この種類は数知れない。
永見さんは、山野草を求めて岡山・広島・四国と暇を見つけて、山歩きに出かける。
花の写真をとっては、ひたすら創作に励む、色・形・作品の見せ方、すべて組み立てる毎日。

リンドウの花があった。
今年の作品と昨年のもの、微妙に違う。絵の具で色をつけたものと、粘土を限りなく薄く延ばし貼り付けたもの、深みが違っている。いつも、新しい技法を考えているという。

作品
↑工房のフロアーに、ところ狭しと並べられた作品

今、作りたくても作れない花があるという。
「ウメバチソウ」四国に咲いているという。
花びらは簡単なのだが、おしべが難しい。作れない。
おしべは市販のアートフラワー用のものを使っていると思っていた。
昔は使っていたけれど、最近はおしべも作ります。
白く透き通るような花弁の夏椿のおしべは、糸より細く密集していた。

花と夢

山野草は2月から11月まで、日本中で咲いている。
北海道利尻礼文島へ行ってみたいという。
高山植物のお花畑、出来るなら住み着きたいです。

教室に通う生徒さんは、約50人 30代から70代、やはり中高年の女性が中心。
どこに行っても、元気なのは中高年の女性たち、わいわいにぎやかに手と口を動かしている。

教室を経営し、忙しい毎日を送る永見さん、生徒さんから「生きがい」を見つけられた。
「一生の楽しみにする」そんな声に励まされ、毎日創作している。
皆さんに、樹脂粘土で作る山野草を、もっともっと知っていただき、楽しみを教えて差し上げたい。
山野草、ひとつでも多く花を作りたい、もっと山に行きたいんですよ。
そんな夢を話してくれた。

展示会:山野草寄せ植え展

今回10月13日~15日中電ふれあいホールで、生徒さんの作品を集めた展示会を開催、毎年開催して5回目、大皿や鉢、木の根っこ、籠など様々にアレンジして見せるようだ。
一度足をのばして、風に揺れる風情の山野草を楽しんでみてください。

【展示会:山野草寄せ植え展】

  • 日時:2006年10月13日から15日
  • 時間:10時から5時(最終日は4時まで)
  • 場所:松江市朝日町中電ふれあいホール 

小柄でやさしい笑顔の永見さん、まだ40代、すでにおばあちゃん。
7月にお孫さんが生まれたそうで、うれしそうに話してくれた。
3世代で暮らす大家族のお母さん、工房を出るとお母さんになるようだ。

家族の理解と支えがうれしいようだ。
言葉では、「もうみんなあきらめてますよ」というが、笑顔は「ありがとう」と伝えている。

平成18年10月4日取材