「四季ごよみ」撮影メンバーとして活躍した野津貴章さん(松江市)【#連載71】

サイクリングを楽しみながら、山野草の写真を撮り、約2年間、山陰中央新報「四季ごよみ」の撮影メンバーの一人として活躍した野津さん。

(取材・文章 tm-21.com)

野津 貴章(のつ・よしゆき、57歳)さん

【今回の元気人】
野津 貴章(のつ・よしゆき、57歳)さん
島根県松江市浜乃木町
URL  http://homepage.mac.com/n_yoshiyuki/

団塊の世代
~こだわりの楽しみかた~

サイクリングを楽しみながら、山野草の写真を撮る、そんな休日を過ごしている野津貴章さんにお話を伺った。

 

 四季ごよみ

このほど2年間の連載を終えた山陰中央新報「四季ごよみ」をご存知だろうか。

第1面左端のほうに、山野草のカラー写真と花の解説が数行書いてある記事、毎日のように読んでいた。切り抜いて楽しみにしていた読者も多かったようだ。

野津貴章さんは「四季ごよみ」6人の撮影メンバーの一人だった。

3月30日山陰中央新報、「四季ごよみ」連載を終えての記事、撮影者プロフィルには、野津貴章(のつ・よしゆき) たかあき ではなく よしゆき だったのだ。

自転車で野山を歩き自らのホームページ「花図鑑・サイクリング日記」に草花を掲載。
松江市職員。松江市浜乃木町。57歳。と書いてある。

山陰中央新報社員の中村さんに声をかけられ、その後少しずつメンバーが増え、6人で2年間の連載となった。
美しい写真を撮る人、新発見の植物を撮影された方、それぞれの花に対するスタンスが微妙に違い、個性が出ているという。

野津さんは体の空いたお休みの日は、ほとんど自転車とカメラ。
山野草との出会いは、5年ほど前、旧八雲村の山道を走っていて、道路わきの白い花に気がつき、デジカメで撮影した。これが最初だった。

ホームページ「サイクリング日記」に載せようにも花の名前がわからない、植物図鑑サイトで調べてわかった。「ヤブデマリ」だった。

サイクリングしながら、道端の草花が気になった。いつしか、山野草撮影のためのサイクリングになっていった。

サイクリングと写真撮影が趣味かと聞いたところ、
私は 写真を撮る のではなく花を撮る のです。

なんだか、意味不明 わけのわからんことを言う と思った。
その言葉の意味は、話を聞いているうちに ~こだわりのたのしみかた~ なのだとわかってきた。

野津貴章。松江市職員。57歳。

「花図鑑・サイクリング日記」

野津さんのホームページ
「花図鑑・サイクリング日記」

お話を聞いたのは、3月末、場所は松江市役所宍道支所。副支所長さんだった。

第一印象は、「こわそう」。
いわゆる公務員さんのイメージ、まじめ・かたぶつ・お仕事ひとすじ。
そんなふうに見える野津さん。

松江市乃木の生まれ、中学・高校ときっと趣味や部活にいそしんでいたと思いきや何もしていない。
ええー、野球もサッカーも?

大阪の大学では、サークル活動してました。
「自然愛好会」。・・・・なにするのです?  ・・・・山歩き。
やはり、山野草に魅せられる下地はこの頃からあったようだ。

大学卒業後、松江市役所に入った。
40代になって、サイクリングを始めた。大山や三瓶山にも走った。
畑とかはしないんですか?
畑はしないけど、ハーブにこった時期があった。100種類以上集めて育てたよ。
やはり「自然愛好会」は続いていたようだ。

野津さんの話し方は、ぽつぽつ、どちらかといえば寡黙な人のようだ。
一人で行動することが好きという。
第一印象と休日の野津さんのギャップにビックリする。
職場の野津さんしか知らない人は、きっと驚くことだろう。

山野草の話をする野津さんは、ときおり、やさしい笑顔をみせる。
職場の方は、笑ったところを見たこと無いと思っていませんか?
そうかも知れないと、大笑いだった。

4月から、2年の宍道支所を終了し、松江テルサに移動となった。


花に会いに行く

この5年間で撮影した草花は、900種類となった。
松江市周辺には、1500から2000種類の植物がある。すべての撮影が目標です。
定年退職も怖くないですね。
お仕事以外に、目標が持てる人は幸せですね。

ところで、山野草は冬には姿が無いですよね。撮影はお休みですか?

春、枝に花をつけていた木、夏の姿・秋の実り、冬芽の様子。これらを見に行くという。
「花に会いにゆく」花が咲いているときに行く、ではなかった。

自然ありのままの様子、これを見続けていくということだった。
「花をうつす」この言葉の意味がようやくわかってきた。

美しく花を撮ることではなく、花のありようそのもの、寒さを耐える冬芽、こぼれ種からの新芽、葉を落とした枝、それらすべて「花をうつす」ということのようだ。
「自然愛好会」はいまだに継続中のようだ。

最近の興味は、ロゼッタの姿。ロゼッタってわかりますか。
葉っぱを地面にぺたっとつけて、放射状に広げた植物。タンポポの葉っぱが代表的。
冬、地面は少し温度が高く、寒さに耐えるための工夫のようだ。
そんな植物を、冬場は探して撮影している。

こだわりの楽しみかた

食後は500ミリの缶ビール2本かかえて、パソコンの前に座る。
ホームページの管理、撮影した山野草の名前を調べ、サイトへの書き込みなど日課となっている。

雨の降らない休日は、サイクリング。平日はパソコンの前。
奥様、何も言いませんか?
山の中へ入って、靴や服を汚すな。といわれている。

そういいながらも、美術館や映画、桜の花見も一緒に行くという。
ちゃんと家庭サービスもこなしているようだ。

サイクリングは大学時代に始まり、松江市役所に入り仕事を始めてしばらく遠ざかるが、15年前から復活した。
サイクリングが花を探し、花を撮ることにつながった。
植物の自然の姿に興味を覚えた。
デジカメ・インターネットとさらに広がっていく。
これからどんなふうに、つながり発展していくのだろう。

団塊の世代、大量退職の時代、この人たちが何に興味を持ち、どんな活動をしていくのかは、これからの日本経済・消費社会をも動かすといわれている。
野津さんに話を聞いて、こだわりを楽しむ、こんなキーワードを感じた。

野津さんのホームページ「花図鑑・サイクリング日記」一度のぞいてみてください。

今回掲載の元気人データ

野津貴章さん

氏名 野津 貴章(のつ・よしゆき、57歳)
自宅 島根県松江市浜乃木町
職業 松江市職員
ホームページ 「花図鑑・サイクリング日記」
http://homepage.mac.com/n_yoshiyuki/

「花図鑑・サイクリング日記」 これまでの歩み

2001年7月 平成13年7月 ホームページ開設 
2006年12月 アクセス総数100,506で10万を突破 

平成19年3月31日取材

*野津 貴章(のつ・よしゆき、57歳)
野津 貴章(のつ・よしゆき、57歳)