日本酒学講師 三谷尊文さん(松江市)【#連載78】

お酒に親しむ季節、日本酒が大好きで、中国地方に9人という難関の資格「日本酒学講師」を取得し、日本酒を通して地域を元気にと意欲を燃やす三谷尊文さんにお酒の話をたっぷりと聞いた。

(取材・文章 tm-21.com)

三谷 尊文(みたに たかふみ)さん

【今回の元気人】 
島根の地酒をにぎわす会
=酒匠・日本酒コーディネーター=
三谷 尊文(みたに たかふみ)さん
(昭和47年2月生、松江市出身)
◆取得資格
(SSI認定)日本酒学講師、酒匠、きき酒師
◆ホームページ(ブログ)
http://blog.goo.ne.jp/mitta_1972
◆携帯 090-4104-9010

 日本酒学講師 三谷尊文(みたに たかふみ)さん

ワインの世界では、ソムリエやワインアドバイザーなどの資格を持つ方が有名ですが、日本酒の世界にも同様の資格があること、知っていますか?

日本酒アドバイザー」>「きき酒師」>「酒匠(さかしょう)」>「日本酒学講師」と4段階の資格があります。アドバイザーから始まって日本酒学講師まで、ちなみに「酒匠」は県内に2名、そして「日本酒学講師」も三谷さんを含め二名ほどだ。
本人は、「資格をとろうという人が少ないからね」と謙遜するが、なかなか、大変なことらしい。

昭和47年生まれ、もうすぐ36歳の三谷さん、黒のタートルの上に白いコットンシャツ、ベージュの細身のパンツ、さりげなくおしゃれな方、笑顔がやさしい。
松江市出身、松江高専土木科を卒業し、大阪で土木関係の仕事に就いた。
26歳で帰郷し、その時今までとは違う仕事がしたいと思った。商売がいいと思った。
ハローワークでたまたま見つけた「酒販・飲食事業会社」に就職した。
ここから、お酒にどっぷりとつかっていく。

間もなく、店長になった。
酒の勉強を始めた。8年前「きき酒師」の資格をとった。
このときは、店長として自信を持って商品を販売していきたいという、自分自身のためだった。

写真:左/居酒屋・朔屋(さくや)店主:福島将美さん、 右/三谷尊文さん
写真:左/居酒屋・朔屋(さくや)店主:福島将美さん(昭和49年12月生)、 右/三谷尊文さん

酒好きとの出会い

お酒の話題となると、ドンドン盛り上がり、話が止まらない二人!! 写真:左/居酒屋・朔屋(さくや)店主:福島将美さん、 右/三谷尊文さん

お酒の話題となると、ドンドン盛り上がり、話が止まらない二人!! 

根っからの日本酒好き、日本酒の取り揃えが充実している「居酒屋・朔屋(さくや)(松江市寺町・福島将美店主)」というお店に通っていた。
三谷さん、生真面目な性格らしく、自分がお酒にかかわっていることは話さなかった。
2年ほど通って、初めて「酒匠」だと話した。
「朔屋」の福島さんも、もちろん「きき酒師」だ。
福島さんと酒談議が始まった。

このころから、三谷さんは「日本酒アドバイザー」「きき酒師」を増やしていきたいと思っていた。
お酒に興味を持ってもらうことで、島根の日本酒愛好者の底上げをしたいと考えた。
「日本酒学講師」の資格は、自分の講義を受けることで、資格取得ができる。また、勉強が始まった。

酒好きが集まる店、一声かけると、島根の酒好きや蔵人の人たちまでもが集まった。
島根の地酒をにぎわす会」を作った。
皆さん、集まって飲むことが大好き。蔵めぐりなど、楽しんでいる。

「チーズフォンデユを日本酒で作ったらどうだろう」誰かか言った。早速作ってみると日本酒によくあう。
チーズ ポン酒」と銘々した。

皆さん、日本酒大好き、わいわい盛り上がることで、さまざまなアイデアが生まれていく。
この「島根の地酒をにぎわす会」定期的に開催している。
今、あたためているイベントがあるようだ、その話はあとで紹介しよう。

島根の日本酒

福島さんが経営する居酒屋・朔屋(さくや)の店内。日本酒・焼酎が楽しく飲める落ち着いた空間です。
場所:松江市寺町186
電話:0852-28-1440/
営業時間:PM 6:00~1:00
定休日:日曜日 
ホームページ:
http://www.geocities.jp/sakuya2004426/

酒どころと言えば、新潟県と思うひとが多いだろう。島根県はどうだろう。三谷さんに聞いてみた。

  • 「島根県は全国的に見ても、とても酒つくりに向いている」
  • 「出雲杜氏は全国で活躍している」
  • 「出雲は日本酒発祥の地、平田市の佐香神社は聖地のようなところ」

身振り手振りを加えて、どんどん話に熱が入ってきた。

各種資格を認定する「日本酒サービス研究会 酒匠研究会連合会(SSI)」のテキストの最初には、日本酒発祥の地「佐香神社」と堂々と明記してあるそうだ。

現在、島根には37の酒蔵がある、そのうち蔵でお酒を作っているところは29蔵、今のままでは、廃れていくのではと、三谷さんは危惧している。

さて、日本酒は若者にはマイナスイメージがあるようだ。

  • 悪酔いしそうだ。
  • なんだかわかりにくい。
  • おじさんのイメージ。などなど。

フランスでも若者のワイン離れがあるという。
若者に日本酒を飲んでもらうには、イメージの改革が必要であるようだ。

まず、飲み方を変えてみよう。

  • おいしい日本酒を料理に合わせて選ぶことが必要だ。
  • 無理やりついで、飲め飲めはやめましょう。

日本酒の特徴は、

  • 冷たく冷やして、常温で、ぬる燗・熱燗、温度変化が楽しめる酒は日本酒だけだ。
  • あらゆる料理に合わせることができ、実にはばが広い。
  • ヌーボーワインがあるように、さわやかな新酒、熟成されてきて、四季の旬の食材に合うように、自然に育っていく。

こんなお酒は日本酒しかない!!

どうです、見直したでしょう。すべて、三谷さんの熱い語りだ。

アメリカでは健康ブームから、日本食がはやっている。それと同時に日本酒ブームがあるという。
そして、日本酒と明記できるのは、純米酒のみ。アルコールを添加したものはライスリキュールといわれるそうだ。
これは、日本でも見習うべきことと思った。

日本酒の品質を保つため、ぜひこの制度を取り上げてほしいものだ。
ワインはきびしい品質保持が国レベルで行われている。
このことは、三谷さんと意見が一致した。

三谷さんの活動

島根の地酒をにぎわす会inリバービュー

多くの皆さんの参加で盛り上がった島根の地酒をにぎわす会inリバービュー(平成19年10月) 

酒販・飲食事業会社の営業部長としての仕事のほか、平成20年1月からは山陰中央新報文化センターで日本酒アドバイザー資格認定講座のセミナーを開催する。12月4日オリエンテーションを開いた。
思わぬ反響で、48名の参加者があった。

1月からセミナーを開催するが、オリエンテーションですでに29名の応募があった。三谷さんの熱い思いに賛同した参加者が多かったことだろう。
このセミナーに参加すると、日本酒アドバイザーの認定書がもらえるそうだ。

また、2008年3月15日(土)島根の地酒旅というツアーも企画している。

三谷さんから印象的な言葉を聞いた。
うれしくても酒 悲しくても酒 人生の主役ではないが 最高の脇役です
深い言葉でしょう。

夢のイベント・・・・>百石日本酒祭り?

日本酒発祥の地 島根、佐香神社(松尾神社)のことはお話しましたね。
佐香神社では、毎年10月13日「どぶろく祭り」が行われる。

日本酒の聖地 佐香神社で日本一の日本酒イベントを開くというものだ。
10月13日が土曜日になるのが5年後、その名も「百石日本酒祭り
百石とは日本酒一升瓶で一万本、つまり一万人を集合させようというイベント。

島根の酒蔵、蔵人、日本酒愛好家を総動員し、全国から人を集め盛り上がろうという、壮大なイベントだ。

五年後の10月13日、ゴールは決まっている。
さあ、これからどんな仕掛けをしていくか、楽しみである。
もちろん、日本酒大好きなわたくし、当然参加したいものだ。

日本酒への認識が変わりましたか。
年末・お正月とお酒を飲む機会の増える時期、じっくり味わって飲んでほしいものだ。

PS 1
三谷さんに刺激を受け、当社(ティーエム21)も早速、日本酒アドバイザー資格認定講座に参加を決めました。(笑)

PS 2
参考までに、今話題、連載中の漫画『蔵人(クロード)・尾瀬あきら著』は、なんと松江の酒蔵が舞台となっています。

平成19年12月22日取材