公務員から転身、地元食材の情報発信に挑戦する和田裕子さん(大田市)【#連載99】

大田市駅の近く、ショッピングセンターパルのそばに、『食材と人のハレ舞台』を演出するアンテナカフェ「ハレの日」がある。 オーナー 和田裕子さんを訪ねた。
 公務員から転身、地元食材の情報発信に挑戦する和田裕子さん(大田市)

今回の元気人

和田裕子さん(32歳)

アンテナカフェ「ハレの日」 オーナー
〒694-0064
大田市大田町大田イ660-14
TEL・FAX  0854-82-5655
ホームページ
http://www.harenohi-antenna.com

おとなサマランチ

 月曜日のお昼時、店内は女性客で満席だった。
ちょいとのぞいてみると、パエリヤやオムライスなどなど、そしてすべてのランチについているのが、お野菜たち、少しずついろいろな野菜料理が、並んでいる。

私がいただいたのは、おとなサマランチ(おこ様ランチが食べたい人のおとな様ランチ)、具沢山スープ、メインはチキンとレンコンのハーブ焼き、そしてお野菜たち、ご飯はキノコご飯のオニギリ又は銀シャリどちらかをセレクトする。私は銀シャリをいただいた。

お野菜たちを紹介しよう
朝どれ人参のマリネ 種無し柚子添え
黄色と緑の2色マッシュ  黄色はかぼちゃとジャガイモ  緑は春菊とサトイモ
おからサラダ マヨネーズとヨーグルトたっぷりで味付け

こだわりの野菜たちなのだ。シンプルな味付け、素材の味そのものだ。
例えば種無し柚子は香果柚子(こうかゆず)といって、種無し柚子の品種を掛け合わせ、作り上げたもの、皮が柔らかくものすごくジューシー、存在感たっぷり、久利町の福田隆治さんが作っている。
お米は、三瓶山のファーム浮布のお米、添えられた藻塩は静間ふるさと交流クラブのおじいちゃんたちが、3日間窯炊きし、アラメの煮汁をいれて炊き上げた藻塩だ。
私、銀シャリを半分おかわりし、藻塩をパラパラ、おいしかったですよ。お米の甘さが広がりました。

「ハレの日」は、大田市の地元の食材にこだわり、食材のおいしさを知ってもらいたいという、和田さんの思いが詰まっている。

写真上)アンテナカフェ「ハレの日」 店舗外観(写真下)地元食材にこだわった『おとなサマランチ』 980円

(写真上)アンテナカフェ「ハレの日」 店舗外観
(写真下)地元食材にこだわった『おとなサマランチ』 980円

アンテナカフェ「ハレの日」

  アンテナカフェって、なあに? 聞いてみた。
アンテナをピンとまっすぐ立て、情報を受発信するのだ。物・人の情報の集まる場所、そして発信する場所ということだ。

食材と人のハレ舞台を演出するという。ハレの日のハレは、いいお天気の晴れの日が好きなのかと思ったら、ハレ舞台だった。
ある日おじいさんが、お米一度食べてみてと持ってくることもあったという。人も物も集まってくる場所になっていくようだ。いい名前ですね。

取材したこの日は月曜日、たくさんの女性が、グループでやってきていた。
少しおしゃれをして、お友達どおしでランチ、これもある意味「ハレの日」と思う。
和田さんは、大田市内では、そんな場所が少ないという、ランチは1000円でおつりがくる。
女性にとって、とっても優しいハレの日になることだろう。

女性たちは食事の間も、和田さんに食材のこと、レシピなど色々聞いている。
和田さんは、『おからにはたっぷりのヨーグルトを入れるとしっとりおいしいですよ。』何でも教えている。
きっと、数日後には食卓に上っているかもしれない。

これも情報発信なのだろう。

テーブルもいすもイギリスのアンテイークのものという

テーブルもいすもイギリスのアンテイークのものという

和田裕子さん 32歳

 出雲市出身32歳、和田さんは11年間大田市役所で公務員として働いていた。
総務課・町づくり・過疎対策・産業振興などなど、色々なお仕事の中で、農家の人達そして企業人との出会いがたくさんあった。

そのときに感じていたのは、他にはないすばらしいものが、たくさんある。しかし、PRが弱い。
これは、島根県人全体にいえることではないだろうか。口下手で情報発信不足なのだ。

もともと、お料理が大好きだった。いつか、食にかかわる仕事がしたい。そんな思いを実現したのが「ハレの日」だった。
大田市のすばらしい食材にこだわって提供していく。
地方のリアルな情報を発信したい。

ハレの日はもともとそこにあったカフェを改装した。
白い壁にこげ茶の木の床、落ち着いた雰囲気だ。テーブルもいすも100年くらい前のもの、イギリスのアンテイークのものという。テーブルの上のランプは、テイストは似ているが、一つ一つ違っている。そこが面白い。

食器はガラスに陶器、みんなかわいくカウンター奥の棚に並んでいる。
ちいさなガラスの小瓶にハーブやお花がさりげなくいれてある。
子供っぽくなく、かわいい落ち着きが演出されている。和田さんのセンスの良さなのだろう。

和田さんは、明るい大きな声ではきはきとしゃべる。きっぱりとした性格なのか、答える言葉に迷いはない。人が集まってくるのもわかる気がした。

常に満席状態の店内

お昼時は、テーブルもカウンター席も、常に満席状態の店内

情報発信 都市圏へ行商?

 アンテナカフェ・ハレの日オープンが、完結ではないと和田さんは言う。
現在定休日は毎週木曜日第2日曜日だが、来年からは毎週水曜日と木曜日を定休日にして、食材探しに歩き回るという。

マンネリ化したくないという気持ちからだ。
 
今年も、色々な農家のお米をあつめて、お米の食べ比べを企画したかったが、時間がとれず未企画に終わっている。来年はぜひやりたいと話してくれた。

また、行商に行きたいという。都市圏へ行商に?
島根県にも、東京にアンテナショップはオープンしている。そこでは、さまざまな加工品や食材が置いてあり、人気だときく。

和田さんは、置いてあるだけではなかなか良さが伝わらない。
きちんと食事をしてもらい、その上で食材をかってもらいたいという。
ネット販売も、食べて気に入ってもらえば、リピーターになってもらえると考える。
行商という言葉が好きと言う。

ハレの日はその足がかりだ。

女性にはうれしいスイーツも充実している。

女性にはうれしいスイーツも充実している。

ハレの日

  ハレの日はランチが中心、11時から2時、朝ごはんは土・日・祝のみで、9時から10時
デイナーは予約で受けているが、一組だけの貸切、11月は3件の予約が入っていた。
予算に応じて、さまざまな食材を提供する。肉も魚も地元産のものにこだわっている。

もちろん、スイーツも充実している。別ばらプレートなるものがあって、女性にはうれしいかぎりだ。
マロンパフェなるものがデビュー、栗にラム酒のきいたアイスクリームがベストマッチと、チラシに書いてある。おいしそうでしょう。
11月19日にはボジョレーヌーボー解禁にあわせて、ボジョレーにあう小皿料理を用意してのイベントが開催された。おいしいオトナの時間の演出、こんな企画も時々開催される。
まことに「ハレの日」でございます。

余談ですが
和田さんは、3人の子供さんがいる。
そして、中学生の子は「おおきくなったらパテイシエになるから、お母さんそれまでがんばってね」といってくれるそうだ。
うれしい話でしょう。

 

ハレの日

 

今回掲載の元気人データ

店舗名 アンテナカフェ「ハレの日」
所在地 〒694-0064 
大田市大田町大田イ660-14
氏名 オーナー 和田裕子さん
営業時間

10時ー18時(土日祝は9時から)

  • 朝ごはん 9時ー10時(土日祝のみ)
  • 昼ごはん 11時ー14時
  • デイナー 予約にて(7名から20名)
定休日 毎週木曜日・第2日曜日
連絡 TEL・FAX  0854-82-5655
ホームページ http://www.harenohi-antenna.com

 

2010年11月20日取材