特定農業法人・エコファーマー ファーム浮布株式会社(大田市三瓶町)【#連載87】

三瓶を元気に!と地域農業者と連携した良質で安全・安心な島根県推奨エコロジー農産物のこしひかりを生産販売、三瓶を愛し三瓶に熱い想いを描く藤原眞章社長に聞きました。
 特定農業法人・エコファーマー ファーム浮布株式会社(大田市三瓶町)【#連載87】

今回の元気企業

藤原 眞章さん

特定農業法人・エコファーマー ファーム浮布株式会社名 代表取締役

〒694-0223 島根県大田市三瓶町池田155
TEL 0854-83-2588 
FAX 0854-83-2544
メール yuugen-midori※tulip.ocn.ne.jp
 送信時には ※ を @に変更してください。
ホームページ http://www.ukinuno.jp/

浮布米の誕生

三瓶山で米作りを生業とするファーム浮布株式会社が設立されたのは平成19年2月のこと。

ファーム浮布があるのは三瓶山の標高350メートルに位置する池田地区。
美味しいお米を作るための絶対条件、寒暖の差が激しく米作りにはこれ以上ない最適な環境なのだ。
もちろんできるコシヒカリは絶品!「浮布米(うきぬのまい)」として地元を中心に全国各地で愛されるようになってきた。

最初の年はわずか3.7ヘクタールだった栽培面積が、5年目となる今年度(平成23年度)は23.5ヘクタールのもの面積にまで大きくなった。池田地区の見渡す田んぼのほとんどをファーム浮布で耕しているという構図だ。

その多くは高齢化や後継者不足で担い手のいない田んぼだった。
それを買ったり、借りたり、作業委託を受けるなどして、放棄地拡大に歯止めをかけているというわけ。
もともとファーム浮布設立のきっかけは、社長である藤原眞章さんの“地元の田んぼを荒廃させたくない”という想いからだったのだ。
「浮布」とは池田地区の水瓶「浮布池」からもらった名前。

三瓶山の豊かな水源をたっぷり受ける豊かな田を、先祖代々受け継がれた田を守りたい。
池田地区の田区の基盤整備の話が持ち上がったのをきっかけに藤原さんが名乗りを挙げたのだ。
地元の人への説得を続け、ようやく今の形となった。
三瓶から美味しい米を発信し続けて今年で5年目になる。

三瓶山をバックにした田んぼ
田植え体験イベント。三瓶山が一望できるこの景色は圧巻!!
三瓶を訪れた際はこの景色を探してみて☆

特定農業法人・エコファーマー ファーム浮布株式会社(大田市三瓶町)【#連載87】

『浮布米』 5キロ:2500円 10キロ:5000円
送料500円で全国に宅配もしてくれます。お問い合わせを!

安心安全な米を全国に

取材に訪れた日は、広島からのお客様を受け入れ田植え体験ツアーが行われていた。天気も良く、大勢の参加があり大盛況だ!
ファーム浮布の自慢である三瓶山を一望する田んぼでの田植えはなんとも爽やか!!
大人も子供も裸足になって田んぼに入り、夢中になって作業をしていた。

こんなふうに田植えや収穫体験をファーム浮布では多く受け入れている。
浮布米の良さや、三瓶山の素晴らしさを広く知ってもらいファンになってほしいという想いからだ。

浮布米は減農薬・減化学肥料の特別栽培米だ。
平成22年には島根県の安全基準に則した「美味しまね」の認証も受けている。
土作りには地元さんべの放牧牛の堆肥を使う。
そして生産(苗作り)から販売まで自社で行っていて“生産者の顔が見える”米づくりにこだわる。
まさに安心安全なお米なのだ!

そして「無洗米」なのも藤原さんのこだわりのひとつ。
「無洗米」は水で研がないため米の美味しさを逃さず炊くことができる。
それに、水で流れ落ちてしまう栄養素も逃がさない。
さらに研がないから最小限の水しか使わない、エコなお米というわけ。

これだけこだわって作っていても、全国数あるお米から浮布米を選んでもらうというのは、なかなか簡単なことではない。
作っても商品として売れなければ田を維持できない。
そこでいろんな努力をして売っていかなくてはならない。
今回の田植え体験ツアーもそんな地道な試みのひとつ。

この日の田植え体験ツアーは盛りだくさんの内容。
午前中は田植え。お昼は浮布米を見下ろす絶景のなかでのバーベキュー。(お肉は地元の川村牧場の絶品牛肉!!)午後からは山菜採り体験のあと、温泉に入浴して岐路へ。途中、予定外にたけのこ堀りも体験できた。
日帰りながらも満足な行程だったのではないだろうか。
参加者はきっと三瓶のことを大好きになったはず。
藤原さんが終始嬉しそうにニコニコしていたのが印象的だった。

 

特定農業法人・エコファーマー ファーム浮布株式会社(大田市三瓶町)【#連載87】

この地区の見渡す田んぼほとんどをファーム浮布で耕しています。上から見るとすごく広い面積でびっくりです!

2足のわらじ

藤原さんは地元でもうひとつ先代から受け継いだ「みどり建設」という建設会社を営む。
2足のわらじは大変なのでは?と思うのだが、これがまた農業との合理的な棲み分けができるのだ。
大きな田の整備には建設業で使う重機が役に立つ。

田植えや稲刈りなどの多くの労働力が必要なときには建設業の従業員の手も貸り、効率的に作業ができる。
なにしろ、真冬は雪で閉ざされる三瓶山。
農業だけで経営を維持するというのはあまりに非現実的な話なのだ。

農業で生活を維持させるというのは日本全体での課題。
こういった2足のわらじシステムは、農業の未来の大きな光となっている。

 

特定農業法人・エコファーマー ファーム浮布株式会社(大田市三瓶町)【#連載87】

イベントのお世話をする地元の人達はみなさんずっと笑顔で嬉しそうな様子でした。なかでも藤原さんの大きい声はずっと田んぼに響いていましたよ。

三瓶山に想い描く夢

藤原さんに「これからの夢はありますか?」と聞いたら即答で返ってきた。
「三瓶に観光農園を作りたい」

そのために、ファーム浮布の敷地もいろんなバリエーションで進化している。
米のほかにもハウスではほうれん草や小松菜などの葉もの野菜、にんにくや蕎麦も作っている。
そして栗の木も植えた。

数年後にはたわわに実って栗拾いができるようにと。
年間を通して様々な農業体験がしてもらえる総合的な観光農園を目指して模索中だという。
農業体験の他にも、お土産となる美味しいものを作りたいと加工販売にも意欲をみせる。
ファーム浮布が元気になるのはもちろんだが、三瓶全体が良くなってほしいという想いが強いのだ。

実は藤原さん、三瓶の出身ではない。
生まれ育ちは福岡県。
結婚を機に妻の実家である三瓶に移り住んだ。
23歳の時だった。
都会暮らしから一変して山での生活・・・最初は戸惑うことだらけだったという。
三瓶に来て45年、今では三瓶を愛してやまない。

いまの三瓶は昔に比べると観光客が少なく元気がないらしい。
たしかに、こんなに天気がいい休日だというのに人影はまばら・・・。
地元の人たちはなんとか活気を取り戻したいと必死だ。
意気盛んな藤原さんに初めは反対していた家族も、いまでは一番の理解者であり協力者だ。
地元みなさんの協力も徐々に得られるようになった。
これからますますパワーアップして三瓶の地で花を咲かせることだろう。

島根県のシンボルともいえる三瓶山。
三瓶を愛するみなさまのことを知ると、ますます三瓶山のことが好きになってきた。
みなさん、日頃の疲れを癒しに、美しい三瓶山にもっと遊びにいきましょう!

 特定農業法人・エコファーマー ファーム浮布株式会社(大田市三瓶町)【#連載87】

浮布米の名前の由来となっている「浮布池」。古い悲しい伝説が残っていて、カップルでは行かないほうがいいんだとか!?!?
とにかく、ず〜っとずっと昔から清い水を貯えてくれて、地元の人達が大切にしている場所です。

今回掲載の元気企業データ

法人名 ファーム浮布 株式会社
所在地 〒694-0223 島根県大田市三瓶町池田155
代表 代表取締役 藤原眞章
設立 平成19年2月8日
業務
  • 中山間地域でありながら、ほ場整備事業を活用し、農地36haのうち約20haの農地を集積利用。
  • 島根県エコロジー農産物推奨制度認証の高品質・無洗米こしひかりを販売。
  • 地域農業者と連携した生産活動の展開。
連絡

TEL 0854-83-2588 
FAX 0854-83-2544

メール 
yuugen-midori※tulip.ocn.ne.jp
 送信時には ※ を @に変更してください。

ホームページ http://www.ukinuno.jp/

 

2011年6月8日掲載   

取材・記事  久保田 夕  「島根のおいしいブログ」 http://ameblo.jp/yu-shimane/