横田高校魅力化プロジェクト コーディネーター 本宮理恵さん【#連載105】

島根県立横田高校の魅力を発信し、生徒募集に尽力する本宮理恵さんにお話をきいた。
島根県立横田高校魅力化プロジェクト コーディネーター 本宮理恵さん【#連載105】  

今回の元気人

本宮理恵さん

島根県立横田高等学校 
魅力化プロジェクト コーディネーター 

島根県仁多郡奥出雲町稲原2178-1
TEL 0584-52-1511

島根県立横田高校魅力化プロジェクト

限界集落・地方消滅論など、離島や中山間地は危機感に見舞われている。
島根県でも、地域再生には学校の存続が欠かせない。
各高校の魅力を発信し、町内外は勿論のこと県外からも広く生徒を募集しようというプロジェクトである。

コーディネーター本宮理恵さんは、2014年7月より横田高校に就任した。
魅力化プロジェクトは、2011年からスタート2013年第1期が終了し、2014年から第2期が始まった。

第1期は、熱意ある教員、役場職員、有識者の集まりでスタートし、その後より組織的に動くために、町のトップも加えた特別委員会や地域創造委員会など3つの委員会を組織した。
議論は活発に行われたが、具体的に推進していく専属コーディネーターの設置が急がれた。

第2期、本宮さんが就任し2014年スタートした。

島根県では、隠岐高校・隠岐島前高校・飯南高校・津和野高校・吉賀高校・矢上高校・島根中央高校・横田高校の8校が魅力化プロジェクトで連携し、島根県全体の教育の魅力を県外に発信し売り込みを開始している。

島根県立横田高校魅力化プロジェクト コーディネーター 本宮理恵さん【#連載105】

横田高校玄関口にはホッケー選手のモニュメント
遠くに船通山を望む自然豊かな立地

本宮理恵さん

本宮理恵さんは、1983年9月生まれ(31歳)、安来市出身の女性だ。

笑顔のかわいい、高校生から見るときっとステキなお姉さんという存在だろう。

徳島大学を卒業後、リクルートに入社し岡山に配属された。
リクルートでは、集客および収益増収のための提案営業の仕事に励んだ。
おもな担当は、美容院。
とびこみ営業の毎日だった。
美容院は、女性ならよくわかるでしょうが、それぞれの美容院にはターゲットの客層がある。客層を絞り、お店の売りを引き出しブランディングを提案していく。

1年目、まったく売り上げがなかった。
当然、事務所にはグラフが張り出され、苦しい時期だった。
2年目、3年目、売り上げが伸びていき、上司からは「よくがまんしたね」との言葉をかけられた。
4年間頑張った。仕事はとっても楽しかった。

「島根に帰ろう」4年でリクルートをやめて安来に帰ってきた。

松江や米子でフリーの広告営業を始めた。
また、知人と2人で「島根美少女図鑑」を立ち上げた。
しかし、収入はほとんどなかった。

26歳、本宮さんには、やりたいことがあった。
島根で「人材育成」をやっていきた。
26歳女性、明確に自分のやりたいことが見えている人は少ないのではないだろうか。
柔らかな笑顔の奥には、強い意志があるようだ。

島根県立横田高校魅力化プロジェクト コーディネーター 本宮理恵さん【#連載105】

柔らかな笑顔の奥にも、強い意志が

NPO法人 てごねっと石見

江津市主催の「ソーシャルビジネスプランコンテスト」に企画を提案し、優秀賞を受賞した。

コンセプトは「帰ってこれる島根を作ろう」
この企画でNPO法人を作りましょう。江津市からゴーサインがでた。

NPO法人てごねっと石見を立ち上げた。
「創業支援部」「人材育成部」「商店街活性部」
3本柱で活動を開始した。 夢をひとつスタートさせた瞬間だった。

島根県民は特に若者のモチベーションが低いと感じていた。
どうせ、島根にいても好きな仕事もないし、面白くない。
島根にいたら、何となく落ちこぼれているようなイメージがある。
そんな、心の中で感じていたことを形にし、
「学生や若者が活躍できる地域を作れば、みんな帰ってくる」
てごねっと石見の企画を、1ヶ月で作り上げた。

徳島大学では、社会学・まちづくりを学んだ。
徳島のまちづくりに関わる大人を見た。地域と学生が共動し一緒になって地域の魅力を掘り起こす作業が楽しかった。地域の人達から、さまざまなことを学んだ。
この経験が、てごねっと石見の企画の根底にある。

江津市での活動

当時、江津市は空き家・シャッター商店街が目立っていた。
本宮さんは、毎週県立大学に通い町づくりに興味を持つ学生を集めた。
大学生に商店街に入ってもらい、調査をして歩いた。

大学生は人と会って話すことが楽しいといい、商店主は大学生から元気をもらっていた。
変わっていくきっかけとなった。

江津市では、駅前再開発が始まり、I・Uターンの人たちが駅前に新規店舗をオープンさせていった。飲食店・デザイン事務所・アトリエ・ネイルサロン・学習塾など。
現在は21店舗になっている。
そんなきっかけが、てごねっと石見の活動だった。

商店街では「てつなぎ市」が始まり、駅前に出店する人を募るイベントを開いている。
そこには、大学生はもちろん、高校生・中学生がボランティア参加してにぎわっている。

てつなぎ市は、世代間の手つなぎでもあった。
本宮さんは、2011年秋にスタートさせ、2013年をもって、駅前の開発に伴いイベントは終了。
そのころ、横田高校にもキャリア教育の授業を手伝う機会があった

そして、横田町役場の人に、横田高校魅力化プロジェクトをやってみないかと誘われた。

島根県立横田高校魅力化プロジェクト コーディネーター 本宮理恵さん【#連載105】

ホッケー部の輝かしい活躍の数々

魅力化プロジェクト第2期

2015年度横田高校では、カリキュラムを変える。

1年次 3クラスで共通カリキュラムを勉強する。
2・3年次 総合コース2クラス 進学コース2クラスに分けて、少人数の細やかな指導を目指す。
魅力化プロジェクト会議で決まったことだ。

1年後に選択できることは、高校生にとって先輩をみて活動をみて 考える時間があり自分の進路を決めるためにもよいカリキュラムと思える。

総合コースでは、全員が仮想会社「だんだんカンパニー」の社員となり、仁多米やブルーベリーを栽培・製造し販売までこなす。
販売は、関東4箇所で販売会を自分達で開催する。
客の質問にも答えるために、製品だけでなく、奥出雲の地域の歴史や文化も伝えていく。

そのほか、ビジネス系の資格取得・スポーツ分野・芸術分野と学びを深め就職進学を目指す。ちなみに就職は100パーセント達成、ほとんどの子供達が地元志望だ。

進学コースはセンター試験、国立大学試験に対応したハイレベルの授業や補習を展開していく。

横田高校といえば「ホッケー」

これからホームページもリニューアルし、ホッケーをはじめ横田高校の魅力や学校イメージを発信して町内外をはじめ県外からの生徒募集に役立てる計画だ。

奥出雲町内の中学生にも、横田高校に入学するとこんなことができるよ
中学生と高校生の部活交流や高校生の出前授業など、さまざまな活動を展開していく。

本宮さんは、県内8校のコーディネーターと連携しながら、横田高校を魅力化することは、地域活性化につながると考える。頭の中は、お仕事でいっぱいだ。

2歳の女の子のお母さん、どこで頭を切り替えますかと質問した。
5時に終わって車のハンドルを握ると、お母さんモードに切り替わるそうだ。

本宮さんの熱い思いが、校長先生をはじめ先生や保護者・地域の人を巻き込んで、少しづつ変わっていくようだ。
本宮さんによると、この地域の人達の学校への協力と理解はすばらしいという。
ちなみに横田高校PTA広報誌「まほろばみをつくし」この冊子すばらしい、10ページにわたり、インタビュー、活動報告、学生寮の様子、PTAの活動など盛りだくさんだ。

生徒確保は難しい課題だ。地道な広報活動が基本、コーディネーターは2名に増員予定、地域と連携したキャリア教育の充実、ホームページのリニューアル、県外での高校説明会と一層力を入れていくようだ。

頑張れ、でも頑張りすぎないでね 本宮さん。

島根県立横田高校魅力化プロジェクト コーディネーター 本宮理恵さん【#連載105】  

横田高校PTA広報誌「まほろばみをつくし」

とても充実した内容だ

今回掲載の元気企業データ

所属 島根県立横田高等学校後援会
所在地 島根県仁多郡奥出雲町稲原2178-1
会長 勝田 康則
業務 学校講演会
連絡 TEL 0854-52-1511  FAX 0854-52-1512
   

 

2015年3月6日取材 tm21com