來間屋生姜糖本舗(島根県出雲市平田町)【連載#42】
創業は正徳五年
一口サイズに切り分けて販売した生姜糖は大ヒット。
かつて、出雲大社や一畑薬師への旅人が利用した宿場町として、また雲州木綿を取引する市場町としても栄えた歴史がある平田の木綿街道。その周辺には、今でも江戸時代から続く建物や老舗商店が立ち並ぶ。
來間屋生姜糖本舗は創業が正徳五年(1715年)と約三百年の歴史を持つ老舗である。ここの主は11代目の來間久氏。代々引き継がれた生姜糖づくりを守り続けている。原料は、地元の出西生姜が中心で、生姜糖を作り続けている老舗の店主だ。
「生姜の状態、気温、湿度、炭の火の熾り具合などを考えながらの作業です。工程はもちろん、味も300年前とほぼ変わっていません」
引き継いだ家業、そして改革
寒い季節にはぴったりの生姜湯。身体の心から暖まる。
6年前、当時社長だった父親が亡くなったため、急遽來間社長が引き継いだ。その間、來間屋生姜糖本舗では幾つかの改革があった。
一つは、それまで板状の物だけだった生姜糖を一口サイズに切り分けた商品を販売したこと。「知人の提案でやってみたのですが、かなり好評です」 そしてもう一つは、新商品の生姜湯。寒い季節には生姜の粒を入れた事により、風味がより一層深くなった。來間屋生姜糖本舗にとっては、やく200年ぶりの新商品である。
「大ヒットを狙っているわけではありません。自分達が食べていけたらいいと思っています。そして、先祖代々続いている仕事を引き継いでいけたらいいと思っています」 あくまでも、謙虚である。
元コンピュータープログラマー
県内の土産屋などで販売される來間屋の製品はどこでも人気商品。(撮影協力:暮らしのギャラリーなすの花)
來間社長は以前IT企業でプログラマーだった。そこでは、経理や会計のシステムなどを構築していた。また、営業として顧客との折衝も行うなど、幅広く活躍していた。突然引き継いだ家業だったが、その時の経験が活きたという。
「会社の経理などの仕組みなど、自然と頭に入り込んでいたので、これはあの時のことかぁ、なんて思い出しながらやってますよ。会社員時代の経験は本当に活きています」現在でも、自社の経理関係のシステムは自分で構築するなど、経験をフルに活かしている。
ギフトセットもラインナップするなど、尚も積極的な展開をしつつ、300年の伝統を守る來間屋生姜糖本舗。文化や伝統を重んじる一方、人々の心から薄れつつあるのも事実。來間社長は時代の変化にうまく対応しながら、出雲の文化を残してくれている。
來間屋生姜糖本舗プロフィール
歴史ある木綿街道で創業300年の來間屋生姜糖本舗
社名
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山陰名産 來間屋生姜糖本舗 |
代表者
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來間 久 社長 |
設立
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正徳五年(創業300年) |
住所
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〒691-0001 島根県出雲市平田町片原774 |
TEL
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0853-62-2115 0 / fax 0853-62-1303 |
メール
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hkuruma@silver.plala.or.jp |
URL
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平成18年1月取材