東北大震災被災地ボランテイア活動に参加した島根水道(株)(松江市宍道町)【#連載88】
島根水道 株式会社
代表取締役社長 田本 稔さん
島根県松江市宍道町佐々布213番地25
TEL 0852-66-0041
FAX 0852-66-0048
ホームページ http://www.shimanesuidoh.jp/
田本 稔 社長の想い
2011年3月11日、この日を忘れることはできない。この日は、田本社長の誕生日だった。
被災地石巻には、取引先 佐藤工業所があった。そして、1ヵ月後佐藤工業所にお見舞いの電話をした。
石巻では、何もかも品不足、家庭用ボイラーを送ってほしいとの依頼に、9台送った。
それから1ヵ月後、田本社長は一人で東北へ旅立った。
佐藤工業所を訪ね、仙台・石巻・女川を見て歩いた。想像以上の現実に言葉もなかった。
女川は、見渡す限り何もなかった。ここで暮らしていた人達は・・・・。
ガレキの大きな山が、あちこちにできていた。
「何かできることはないか」
社員をつのって、ボランテイア隊をつくって、ここに帰ってくる。
強い思いだった。
被災地 女川町の住宅地
(上)家の泥だし作業、(下)畑の汚泥剥ぎ取り作業
ボランテイア隊
6月20日(月)11時、社長を含め13人のボランテイア隊はクリーン観光のバスを仕立て出発した。
社員をはじめ地域の人達が、出発を見送った。
中国道・北陸道・関越道など15時間かけて石巻に到着した。
5月、東北から帰ってきた田本社長は、自分の思いを社員に話した。ボランテイア隊には、20歳から60代の人まで全員が手を上げた。
仕事配分を考え、社長は12名を選抜した。
「みんなが手を上げてくれて、うれしかったですね」
石巻ボランテイアセンターから、北上町に派遣された。北上川を津波が上り、堤防を乗り越えて、町には1.5メートルの津波がおそった。
この町は、海岸から3キロほど奥地、建物は立っているものの、泥がたまっている。
畳や床板をはがし、床下のヘドロを取り除き土嚢袋に詰めていく作業、畑にはもっと多くの泥がたまり、すべて手作業で取り除く。
地域の人達、ボランテイアなど多くの人が作業にあたっている。
島根水道ボランテイア隊は、北上町の老夫婦2人暮らしの住宅の床下作業に出かけた。
土嚢袋は100個を越えた。
このお宅には息子さんが同居していたが、現在はガレキ撤去作業のため、自宅をはなれているという。3月11日は、息子さんに背負われて避難したそうだ。
「ありがとうございます」
お礼の言葉に、日本中から集まってくれるボランテイアさんへの、感謝の熱い気持ちが伝わってきた。
もっと、何かしたい。役に立ちたい。みんなそんなおもいだった。
島根水道ボランティア隊(女川町立病院前)
ボランティアセンター前で
宿泊施設とボランテイアセンター
ボランテイア隊は、観光地松島にある1000人収容のホテルに宿泊した。一部屋に5人、ホテルに帰るとすぐに大浴場で汗を流し、バイキングの食事。
このホテルは、さながらボランテイア宿泊所となっている。警察・鳥取消防隊など全国からあつまっている。
ボランテイア隊は、宿泊も食事もすべて自前で用意する。
昼食は、近くのコンビニで毎朝用意して出かけた。もちろん移動バスも自前、クリーン観光さんは、ずっとボランテイア隊と行動をともにしていた。
ホテルの売店は、みやげ物より、作業道具・作業服・マスク・手袋などたくさん販売していた。
朝・夕2回ボランテイアセンターに行く。
石巻市社会福祉協議会が運営し、スタッフはNPO・ボランテイアなど。ボランテイアが地域を担当し、どこで・どんな作業・人数などを自分で調査して、指示をしていく。
ボランテイアセンターには、テント村が出来、日本全国から集まったボランテイアが、テントをたて、自炊しながら作業にあたっている。
まったく見知らぬ人達に、絆ができている。
汚泥の運び出し完了 すさまじい量だ。
井上さんと武田さんの想い
会社の仕事では、必ず段取りが必要で、この準備ができていないと、スムーズに仕事が進まない。しかし、北上町では、段取りなし。
一人ひとりが自分の役割を考えながら、できるところから作業をこなしていく。
人に言われてやるのではなく、自分で行動する。
そんな活動ができた。
宍道営業所長井上さんは話してくれた。
ボランテイア体験をして、感じたこと経験したことがみんなの財産になっている。すばらしい仲間だと自信と誇りを感じました
工務リーダー武田さんは話してくれた。
作業がおわって、ホテルに帰ってきても誰一人「つかれた」とは一言も言わなかった。
不平・不満の言葉も態度もまったくなかった。これは、すごいと思った。
作業中、写真が出てきた。成人式の写真だったかなあ。いまだ、見つからない人もおおくいる。
地元の人達には「ガンバレ」とはいえなかった。
「元気だしてください」と伝えた。
ボランテイア隊の得たもの、その後の想い
24日ボランテイア隊は宍道町に帰ってきた。
一足先に帰っていた田本社長は30人の社員と一緒にバスを迎えた。
降りてきたボランテイア隊の一人ひとりの表情は、疲れたではなく、達成感にあふれていた。そして、全員整列し「おかげさまでよい体験活動ができました」と、社長や残った社員に感謝を述べた。
誰も指示したことではなかった。「すばらしいチームワークができていた」と田本社長は感じていた。
被災地は、まだまだボランテイアの手が差し伸べられていない。
ガレキも泥もそのままになっている地域がある。
この夏、特に若者に東北へ行って、ボランテイア活動をしてほしい。
人として何ができるか、感じて行動してほしい。
6月25日玉湯公民館を会場に、ボランテイア隊の報告会が行われた。
写真をみせて作業の説明をした後、一人づつスピーチをした。
もちろん、不平・不満はなく それぞれが感謝の言葉を自分の思いを口にした。
田本社長は、できるならまた、今度は違うメンバーでボランテイア隊を送りたいと話してくれた。
社会貢献ができる、すばらしい社員と会社に誇りを感じていますと、目を潤ませていた。
島根水道株式会社 本社 と 田本 稔社長
今回掲載の元気企業データ
法人名 | 島根水道 株式会社 |
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所在地 | 島根県松江市宍道町佐々布213番地25 |
代表 | 代表取締役社長 田本 稔 |
設立 | 昭和35年9月27日 |
資本金 | 2200万円 |
業務内容 | 上下水道、給排水衛生空調工事、太陽光発電設備・オール電化設備設計施工 、その他 |
従業員 | 55名 |
連絡 | TEL 0852-60-6810 FAX 0852-60-6811 |
ホームページ | http://www.shimanesuidoh.jp |
2011年7月14日取材・記事 ティーエム21