【連載#04】加藤 剛(かとう つよし)さん
地域に根ざす商工会議所だからこそできた、地域総合情報サイト「さかいみなとポ~タル」
今回の元気人は、地域総合情報サイト「さかいみなとポータル」の総合管理者・加藤剛さんです。
「さかいみなとポータル」は、境港商工会議所が中心となり、境港市観光協会や境港市出先機関、会議所会員企業・商店等が共に連携して全国に地域情報を発信!する、境港の総合情報発信基地。
商工会議所のHPとしては全国的にもユニークな存在で情報更新もほぼ毎日行い、情報内容も豊富!
まさに活きたHPを実現し、全国からのアクセスは勿論、先進的サイトとして各地会議所からの見学・視察も多く、注目を集めている。
加藤氏は、立ち上げ段階からシステム構築に深く係わり、思考錯誤を経て今日の人気サイトへと育て上げてきた立役者!
全くゼロの状態からスタートした自らの経験に基づく地域情報サイトのあり方について熱く語っていただきました。(by tm-21.com 宮崎 照)
名 前 : 加藤 剛(かとう つよし)
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1999年3月開設の初代HP
■無我夢中で開設した初代ホームページ
もともと、パソコンやインターネットなんていうのは、まったく知りませんでした。
大阪で営業マンをしていて、ワープロすら打ったことがなかった私が、境港商工会議所に転職して情報化を任された。それはもう必死でした。キーボードの配列を覚えることからはじめ、わけのわからぬまま職場内の情報化を進める状態でした。
ある時、「ウチの会議所にもホームページが必要だな~」と漠然と思ったわけです。そして、岸本町にある「JAPRO」さんと出会い、開設に尽力いただき、1999年3月初代ホームページを開設いたしました。
初代のホームページはその名も「境港商工会議所」。会議所の事業活動や基幹産業である水産業を中心とした情報を発信していました。
ただ、アクセスがなかなか上がらない。「なぜだろう?」。確かに、マメに更新していたわけでもなく、「これだ!」という魅力がなかったのでしょう。
スタッフの一人と
■リニューアルに向けて
でも、初代ホームページのトップページはすごかった!
黒色のバックに近代的な境港をイメージした斬新なデザインでかなり注目を集めました。ただ、飽きてきちゃうんですよね。デザイン重視のトップページは・・・
何がどこにあるのかわかりづらい。ここのところをリニューアルでは何とかしなければと考えました。
■眠れぬ夜?
リニューアルするにも、今までのような会議所事業を中心とした情報発信だけでは面白味も無いし、アクセスは上がらないだろう・・・。
やりだしたら、のめり込んでしまう性格もあって、眠れぬ夜(ちょっと大げさですね・・・)が結構続きました。
そのころですかね、やたらと「ポータル(玄関口)」という言葉を耳にするようになったのは。
「そうだ!」会議所が中心になって境港市の総合情報サイト(ポータルサイト)を作ろうと考えたんです。社内の若手職員でワーキンググループを作って、「あーしよう、こーしよう」と検討を重ねました。
■発想の転換・総合情報サイト「さかいみなとポータル」
ポータルサイトを立ち上げるべく企画検討を重ねる中で、そのネーミング・・・これがなかなか難しい。
いろいろと案がでたのですが、もうそのまま「ポータル」という言葉を使いました。商工会議所という名前は、あえて出しませんでした。これが、結構勇気というか、思いきった発想でしたね。所内でも、「商工会議所のホームページなんだから会議所の名前はトップに出すべきだ!」という意見もありました。
ここのところは簡単のようで結構難しいところなんです。境港市の玄関サイトとなるべくリニューアルするのに、商工会議所という名前は重たいような気がしてました。
「境港商工会議所」で検索してくる人は当然いるのでしょうが、絶対数は少ないと考えてました。それよりも、「境港」や「魚」、「カニ」など、境港市から思い浮かぶキーワードで見に来る人のほうが多いですよね。
当然、「さかいみなとポ~タル」は境港商工会議所が運営しているホームページですから地元商工業者の皆様に役立つ各種情報は満載です。 しかし、あくまでも「さかいみなとポ~タル」は境港市の総合情報サイトとして、市内の企業・お店や商品、産業、観光・イベントを中心とした情報を全国に向けて発信をしていかないといけない。
このコンセプトで進めていくのであれば、その方向性がすごく大切だと思うんです。「誰のためのページなのか。」・「誰に一番見てほしいのか。」・「何を一番に伝えたいのか。」
「これって、すごいページだね。どこが作ってるんだろう?」
「へぇ~、商工会議所なんだ!」と、いうほうがカッコイイかなと。(笑)
境港市の玄関となるホームページを作るには、やはり市内の様々な情報が必要です。観光に関する情報は観光協会がすばらしいホームページを持っているし、市民会館やシンフォニーガーデン(本格クラシックホールです)などで行われるイベントは文化福祉財団が管理しています。
そこで、観光協会や文化福祉財団との連携をとり、イベント情報が一目でわかるイベントカレンダーを作りました。ID・パスワードを配布して、3機関がいつでも自分達で情報を掲載・更新し、情報の共有化が図れるようなシステムを構築しています。
市内の企業情報は、やはり商工会議所が様々な情報を持っているわけですし、商工会議所だからこそできた地域ポータルサイトだと思っています。
各企業から直接簡単に情報を掲載できる「ポータルメーカー」(HP自動生成・リンク・システム)の導入やグリーティングカードなど多彩な機能を持たせています。
また、毎月、プレゼント企画として会員企業から商品を提供してもらっています。全国からほんとにたくさんの応募があるんです。これはその企業のPRにもなりますし、今後も続けていきたいと思っています。
「さかいみなとポ~タル」は全国の商工会議所ホームページのなかでも、異色の存在として注目していただき、全国より視察に来られる所もあります。
それはやはり、地域全体の情報サイトとして運営していますし、会員事業所を始め、色々な団体に協力していただき連携して成り立っているホームページだからなのだと考えています。 「商工会議所のホームページには、こういう形もあるんだ」という、ひとつの方向性を示せたような気がしています。
このようなコンセプトで発信しているホームページなのですが、会議所としての会員企業への各種施策情報提供もおろそかにはできません。そこで昨年4月より毎月2回、会員向けに「境港商工会議所メールマガジン」の配信も開始しました。
ホームページはやはり受動態です。いくら有益な情報を掲載していても見に来ていただかないと意味がない。そこで能動的なメールマガジンを配信することで、情報提供のバランスを保つようにしています。
「さかいみなとポ~タル」をひとつのビルと考えたら、わかりやすいかもしれません。各フロアーにコンテンツが入所してるんですよ。「会社・お店ガイド」フロアーには市内の企業。お店の情報が集まってくる。「特産品名産品」には、境港のよりすぐりの商品が紹介されている。「観光・イベント」には、観光協会さんに入所していただいている。そして、「検定・経営(商工会議所)情報」に境港商工会議所の各種情報が掲載されているんです。ようするに、テナントのひとつとして、境港商工会議所が「さかいみなとポ~タル」に入所しているんです。
こういう発想は賛否両論、当然あるとは思うのですが、成功したと思っています。 さかいみなとポ~タルをオープンしてから、取引照会や企業に対する問い合わせがほんとに増えてきたんです。
商工会議所という名前のホームページを否定することはまったくもっありません。ただ、そのコンセプトによってはこういう形もありだと思うんですよ。思いきった発想の転換でやってきたのですが、ここでこのようなお話をさせていただいているのもこの成果のひとつかなと。(笑)
そしてなにより、「さかいみなとポ~タル」をこの形にすることができたのは、若手職員のワーキンググループメンバーの企画アイディアと、この方向性に理解を示してくれた上司のお陰なんですよ!
■これから・・・
オープンして1年と少し。全国のたくさんの方々にご覧頂いています。リピーターも増えました。これからも、よりたくさんの方に「境港市」を知っていただき、実際に来ていただきたいと思っています。「さかいみなとポ~タル」が少しでも地域の活性に繋がってくれれば幸いです。
「商工会議所はサービス業なんだ!」という気持ちを忘れずに、今後も、多くの方々から勉強させていただき、ネットの有効的な活用と可能性、そして私ができることを見つけていきたいと考えています。
2002.02.09取材