【連載#06】長井 英夫(ながい ひでお)さん
The Next Stage
今回の元気人は、「デジタルとネットワークで人の心を育む」を合言葉に地域でのIT普及促進に活躍中の(有)デジタルネットプラン長井社長です。
長井さんは、長年ソフト・システム開発企業でプログラマーとしてお勤めでしたが、会社という枠にとらわれない自由な形で地域のIT化促進にかかわりたいと独立されたもの。
その技術力・知識力は勿論、やさしく、人懐っこい人柄から、各種IT講習会講師をはじめ、企業・官公庁のITコンサルとして毎日島根・鳥取両県を行き来し、意欲的な仕事振りです。
昨年にはIT講習用テキスト「ゲゲゲの鬼太郎IT講習」を発刊、今年4月には「鳥取県SOHO協議会」の設立に尽力されるなど、まさに、ITによる地域活性化に元気一杯!活躍中です。
(by tm-21.com 宮崎 照)
名 前 : 長井 英夫(ながい ひでお)
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フォークランド上陸作戦
■原点は「フォークランド上陸作戦」 夢は「フォークランド上陸作戦」。あはは、決して戦争が趣味ではありませんよ。実は学生の時、アルバイトでゲームソフトを作る機会に恵まれたのです。それは20年前のことですから、チームを組んで作るほど大げさなパソコンはまだなかったです。一人で企画立案して、黙々とパソコンに向かって自分の考えたシナリオをプログラミングしていく。それで製品になったのです。その時代はフォークランド紛争があって、それじゃこれをシナリオにと思って作りました。情報は黙っていてもテレビから飛び込んできますし、できあがった製品は誰もが知っているテーマになる。一石二鳥の企画でした。 そのアルバイト先の開発環境も面白く、全国初のパソコンレンタルショップでしたね。今だとインターネット喫茶みたいなものでしょうか?一時間いくらでパソコンが使えるお店でした。パソコンに興味のある、または目的を持ったお客さんが次から次へとやって来て、絶えずみんなで会話が盛り上がる。そして常に新鮮な情報に囲まれた空間でしたね。リアルなメーリングリスト環境だったと言えます。うん、笑いの多い楽しい空間でした。 そして夏休みにこちら山陰に帰って来ると、第一産業(デオデオ)に自分の作ったパッケージが並べて売ってありまして、これには興奮しましたね。商品としてもヒット商品になりましたし、「よし、就職はコンピュータの仕事をしよう」と目標が定まりました。 卒業後、山陰に帰って就職して仕事を始めると、東京でゲームソフトを作っている環境と何かが違う。何か物足りない。そう、こちら(山陰)は内を向いて(山陰を市場として)仕事をしている。このギャップに落胆しました。まあ就職早々、誰もが思う事かも知れません。しかし、この「フォークランド上陸作戦」の経験が仕事に対して、「全国に向けて」の思いを継続させています。 ■スタイルはSOHOへ、出会いからSOHO協議会へ 沸々とした思いが私をSOHOへと駆り立てます。ITを用いる事で”個”のビジネスチャンスが私の仕事分野にもやってきたと感じたからです。山陰にいても全国を視野に入れた仕事ができるのではないかと判断をして、3年前にサラリーマンの世界にお別れをしました。そして作ったのがデジタルネットプランというSOHOな会社です。 しかし、現実は甘いものではありません。自分の思う通りプランは進みません。できたてのSOHOな会社が食べていく為には仕事を選ぶ余裕はないのです。できる仕事は全てする。とても全国へと悠長なことは言ってられませんでした。それでも仕事をこなしていくと、それが実績になり、人とのネットワークが広がっていきます。同じような発想の人にも出会えたりします。 そして素晴らしい人達に会えたならば次にはどうすれば良いかと考える訳です。それがSOHOな会社や人達であれば、次にアクションする為にはどうすれば良いかと考えたりしました。その一つの答えになるのではないかと、鳥取県SOHO協議会設立をさせてもらいました。 SOHOは”個”です。それをグループ化?するのは矛盾との戦いになりそうですが、従来の企業がピラミッド型の組織を構築して仕事をしているのならば、SOHO協議会は水平分散型の組織で上下がなく全てを重んじる事ができます。その自由な交流の中で新しい仕事をしていく足がかりになるのではないかと考えます。小さいけれど大きな企業。そんなまとまりができれば今後の経済の変化にもマッチするのではないかと背伸びをしながら走りながらビジョンを構築中です。 具体的なアクションはこれから作り上げていく事になるのでしょうけれど、やはり人が集まる事は素晴らしいことです。熱い人達に私も揉まれて、とてもいい刺激をもらってます。やはり人が財産ですね。お金は集まればなくなりますが、人は集まる事で新しい知恵を授かります。”個”のSOHOもそれが可能な時代です。
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(C)水木プロ ■自由な発想で生まれたものは その一つが「ゲゲゲの鬼太郎IT講習」です。県民ITというニーズがどかっと目の前にあって、誰にも束縛されない中で今井書店グループさんの支援や近所の方の要望等から生まれました。 作る工程も勉強になりましたが、地方の著者になったことで地方における出版の問題点ついても勉強になりました。東京の出版物ならば何万部、何十万部からスタートするのでしょうが、こちらだと数千冊からのスタートです。印刷部数が少ない分コストが高くなって儲かりません。資本をどれぐらい投下するのかの問題かも知れませんが、ちょっとチャレンジしたいテーマです。「ゲゲゲの鬼太郎IT講習」は私に多くのことを教えて、そして投げかけてくれました。それに応える義務があります。 ちょっと宣伝になりますが、平成14年5月末に「WordとExcel」を共著で発売予定です。定価は953円(税別)です。こちらもよろしくです(^_^;) |
■これから山陰の子供達のために
特に境港市の産業は偏っていて仕事に対しての選択肢がないのです。決してこれらの業種が悪いという訳ではないですが、選択肢が多いければ良いに決まっています。これは教育も同じように言えることなのでしょうが、嘆いてばかりもいられません。ITでSOHOがビジネスになるのならば、ITで地域が活性化する可能性だってあるでしょう。
都会との格差が無くなるか、逆に都会からのビジネスが流れ込んできて、今まで以上に業種が偏るかも知れない時。そんな時代の移り変わりの中で、この地域を、この生まれ育ってくる子供達の環境をきちんと整備しておかなければいけません。特に地域においてITに携わる人達の共通の使命だと私は思います。だからみんなで協力していきましょう。次の新しいステージが待ってます。
2002年4月取材