新出朋之さん(山陰水処理株式会社 社長・島根県松江市)【#連載62】
友人からの推薦
(取材・文章 木村 郁子)
【今回の元気人】
山陰水処理株式会社
社長 新出朋之(にいで ともゆき)さん
若い、賢い、謙虚、爽やか。
いきなり好印象な二十五歳の社長。
夏の終わりに、tm21に舞い込んだ一通のメール。
《大学時代に関西で、学生ベンチャーコンテストに二度受賞し、かなりの有名人。
現在は、26歳という若い年齢で山陰水処理という会社の社長をしている中高の同級生がいるので是非、取材をしてほしい》
同級生から尊敬される、凄い26歳がいるとの情報を得た私達は、早速、元気人となる新出朋之さんに許可を頂き、Y氏からの強い推薦による今回の取材が実現した。
社長以前
水処理に使われる薬品の数々。イイ仕事をしてくれる。
地元の高校を卒業し、神戸商科大学へ進学。青春を謳歌しながらも、未来の若社長は、早くも大物の片鱗を現していたようだ。
大学在学中に学生ベンチャーコンテストに応募し、輝かしい二度の受賞歴。夢と実用性を兼ね備えた新出さんのプランは、人材派遣会社 パソナ代表 南部靖之氏に高く評価された。
そこで、さあ、起業!! と思ったものの、一年間社会人修行してからと金融会社に就職。
その後、前社長の父より病床にて、「家業を継いで欲しい」と頼まれ、山陰水処理入社。
広島のメーカーにて水処理の仕事を一から学ぶ。
そして、二年間の修行を終えた平成十八年の四月、社長就任と相成った。
創立二十七年目を迎える山陰水処理と共に成長を続けてきた、二十五歳の若き社長の誕生である!
水処理というお仕事
飲食店でいえば、お品書きにあたる、営業品目。
゛的確、迅速、丁寧゛をモットーにお客様からの多様なニーズにお答えする。
我々は地球の一員である。今を生きる我々に与えられた使命は、次世代へ持続可能なエネルギーの供給。むろん、家庭でも節水・節電は日々行われている。
しかし、これが工場や病院・企業レベルとなると浪費されるエネルギーは桁違いに大きい。設備やシステムも複雑で安全面も懸念される。ここは、確かな技術をもった水処理のプロにお任せするほかないだろう。
新出さんが社長を務める山陰水処理株式会社では、主に、工場や病院・企業へ省エネの提案と日々の水環境メンテナンスを行う。水が原因で起こる腐食などのトラブル防止と燃費や電気代の節減・節水を、薬品による水処理で実現するという、素人には手におえない、かなりの大仕事だ。
取り扱う薬品は10キロを越えるものもあり、頭能と体力を要するハードな業務。
しかし、省エネ・省資源が叫ばれるこの世の中にあって、なくてはならない仕事である。
取引先への薬品配達、営業をも社長自ら、積極的にこなす。
「この仕事を通じて、いろんな人と出会える毎日が楽しい」と話す新出さんは、
驕り高ぶったところも、気負いもなく、日々を楽しんで社長業をこなしているように見受けられた。
学生ベンチャーコンテスト優秀賞受賞!!
「どんな仕事だって、わかり始めたら楽しいと思うんです!」
その発言も姿勢も、終始、前向きで自然体な新出さんであった。
近年、世界はどんどん近くなっている。しかし、普通の勤め人が海外で語学や異文化を習得するとなれば、まとまったお金と時間が必要だ。この二つを捻出するのは至難の技である。
まっとうな社会人が上司に
「ちょっと、海外で異文化交流して来たいんです。
自己見聞を広げるための、休暇を下さい♪」
などと軽口を叩こうものなら、以後、毎日が日曜日、なんてことにも成りかねない。
もしも日本から出ることなく、電車賃だけで気軽に異文化交流ができたら……。
そんな思いを形にした新出さんの企画は、
第3回キャンパスベンチャーグランプリOSAKA(2001年度)において、
並居る強豪を押さえ、見事、
"ニュービジネス・その他部門"優秀賞を獲得!
テーマは、
「気軽に異文化を楽しんで学ぶ機会をプロデュースする国内型ホームステイ」
異国情緒あふれる神戸の街――ここに住む在日外国人にホストファミリーに成って頂いて、異文化を学びたい者がそこにホームステイをする、という国際都市の魅力を生かした、文句なしに素晴らしい企画である。プラン作成にあたって、新出さんは実際に日本で暮らす外国人の家を訪れて、彼らとカレーを作ったりと楽しい時を過ごし、アグレッシブな交流をはかっている。
こんな素敵な計画を紙の上に眠らせておくのは勿体無い、いつか、何らかの形で実現させてほしい!夢物語で終わらせたくはない!
そう願うのは、私一人ではないはずだ。
若社長を支える言葉
淡いブルーを基調にした清潔感あふれる、山陰水処理の建物。
二十代社長の頭の中。この未知の世界を覗いてみたいと思い、
無礼を承知でいろんなことを聞いてみた。
――海外進出とか、しないんですか?
こんな不躾な質問にも爽やかな笑顔で答えてくれた。
「いつか、できたらいいですね」
――好きな言葉は?
「小さな一歩、確かな一歩」
シンプルゆえに心に響く。
これは新出さんが社長に就任する前、二年間修行した子会社で耳にした言葉だという。若き経営者である新出さんの仕事に対する姿勢は、この十一文字の短いコトバにすべて集約されていた。
そして、そのコトバは、宇宙飛行士のアームストロング船長が月の大地を踏みしめた瞬間に漏らした、余りに有名な一言に似ていた。
『一人の人間にとっては小さな一歩だが、人類にとっては大きな一歩だ』 by アームストロング船長
――若社長、おみそれ致しましたッ!
そして、その小さくも確かな一歩を踏みだした新出さんに惜しみないエールを送りたいと思った。
どこの世界にあっても人を動かすのは、やはり、人。
こんな元気人のいる山陰の未来は間違いなく、明るい。
会社プロフィール
社名 |
山陰水処理株式会社 (栗田工業㈱販売特約店) |
代表者 |
新出 朋之(にいで ともゆき) |
設立 |
昭和54年10月30日 |
住所 |
〒690-0044 島根県松江市浜乃木5丁目4番28-1号 TEL (0852)22-4700 FAX (0852)22-4708 HP http://www.sanin-water.jp/ |
平成18年10月22日取材