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おいしい仁多のお米を作る専業農家 響 繁則さん(奥出雲町)【#連載98】

奥出雲でおいしい仁多のお米を作る専業農家・響繁則(ひびき しげのり)さんを訪ね、こだわりの農業についてお話を聞きました。

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おいしい仁多米を作る専業農家 響 繁則さん(奥出雲町)【#連載98】
 

今回の元気人

響 繁則(ひびき しげのり)さん

◆島根県林研グループ連絡協議会副会長
◆島根県林業インストラクター
◆NPO法人もりふれ倶楽部理事
昭和30年生まれ
仁多郡奥出雲町下阿井579
TEL 0854-56-0895
 

仁多のお米のおいしさ

 「出雲風土記」には、仁多郡の地名の由来が記されている。大国主命(おおくにぬしのみこと)が、
「爾多(にた)しき小國(おくに)」(うるおいがあって、土地が肥えている地域)と呼んだのだという。

 訪ねたこの日は、台風が通り過ぎたものの、まだ霧雨がふり猛暑続きの中の一休み、気温は23度との表示があった。山の中の響さんのお宅の前は、黄金色に実った仁多のお米の田んぼ、中山間地の美しい風景だった。

 奥出雲の仁多・横田で収穫される米は、1998年度食味で新潟県魚沼産コシヒカリと並ぶ評価を受けた。西日本を代表する「うまい米」と評価されている。

 響さんにおいしいお米が出来る条件を教えてもらった。
 ここは標高300-400メートルの中山間地、昼と夜の温度差が激しい、稲穂が出た後、日中光合成し作り出したデンプン質を、気温が下がる夜に溜め込むそうだ。

 土と水、砂鉄などのミネラル分を多く含み、しかも水はけの良いまさ土、そして背後の山々から湧き出す養分を含んだきれいな水。

 牛糞と稲わらや雑草で熟成させた堆肥。

 手間隙かけて、おいしい仁多のお米が作られている。我が家では響さんのお米を毎日いただいている。低音貯蔵されたコシヒカリ、玄米でいただき精米して食べると、1年前の米も新米とかわらないおいしさ、響さんは、コシヒカリはやや水分が多いので1年たったくらいがおいしいという。


響さんのはでぎ
響さんの田圃とはでぎ

 この夏の猛暑は、お米にはどんな影響があったのだろうか。仁多の山奥でも昼間は35度になったという。お米は暑さから身を守るために、モミ殻を厚くしヌカも多くなる。そのために、米としての歩留まりが少々悪いという。幸い先日の台風は、風が強く吹かなかったため、茎の弱いコシヒカリも倒れることなく、これから稲刈りが始まる。

 そして、20日間のはでぼし、天日で干されたお米はうま味を十分蓄えて、私たちの元へと出荷されていく。

おいしい仁多米を作る専業農家 響 繁則さん(奥出雲町)【#連載98】

農林大臣賞をはじめとした数々の受賞盾が並んでいる。

響 繁則さん

 昭和30年生まれ、農業一筋。80歳になる父 忠好さんと一緒に専業農家として働いてきた。

 響さんという苗字、あまり聞いたことがない。仁多には多いのかとおもいきや、響家は、本家と分家の響さん宅の2軒だけ、本家は13代目になるというから、この地に400年以上暮らしていることになる。日本中でもあまりない苗字とのことだ。

 学校卒業後一時は勤めに出たが、間もなく専業農家として父と一緒に働いた。子供のころから手伝っていた家業、物心つくころから自分は農業を継ぐのだと決めていた。現在響さんは、島根県林研グループ連絡協議会副会長・島根県林業インストラクター・NPO法人もりふれ倶楽部理事と農業だけでなく、さまざまな活動をしている。

 若いころは農業後継者も10人ほどいて、後継者の若者たちは会を作り励んでいたが、だんだんと人数は減っていき、いまではこの地域でも専業農家は響さん1軒となっている。50代の響さん、衰退していく中山間地農業を維持し、どう地域を活性化していくかと考えている。

 お話を聞いていた座敷の隣には、膨大なカップや盾が並べてあった。しいたけ栽培でのものだ。農林大臣賞を受賞した。仁多町にはしいたけの共販施設があり栽培しているが、ピーク時の1/3に減っている。

 響さんのお母さん綾子さんが作ってくれた煮しめ・漬け物がテーブルの上に並んだ。しいたけ・とうふ・切り干し大根、ミョウガの煮付けはめずらしく、おいしかった。昔から田舎では、お茶受けには必ず煮しめと漬け物が出されたものだった。県外から嫁いだ私には、何事かとびっくりし、ご飯が出るのかと思ったものだった。今では、すっかりなじんでおいしいなあと満足満足だ。

 この地域では、女性グループがこの煮しめを作り提供している。田舎料理として人気抜群。お盆には、100皿の煮しめの注文があり、しいたけを提供した響さんもその量にびっくりしている。祭り・お盆、正月と煮しめ料理は欠かせない。

 お母さんが言うには、時間のかかる煮しめは、この田舎でも皆さん自宅では作らなくなってきた。お年よりは高齢によりむつかしく、若い人は勤めに出ており、時間がない。そんなこんな理由で、田舎料理煮しめは、注文するものとなっていくようだ。

 これって、地域活性化と伝統文化の継承につながっていくかもしれない。

おいしい仁多米を作る専業農家 響 繁則さん(奥出雲町)【#連載98】

響さんが愛情込めて飼育している牛たち

循環型農業

  響家の母屋の隣には、大きな牛小屋がある。牛を見せてもらった、今年生まれた子牛が4頭、お母さんのおっぱいを飲んでいる。この牛たちとても人になついて、触らせてもらった。
 
 大きな体は、そばで見ると怖いくらい、しかし、触ってもいいよといわれた牛は、のどの下をなでると、うっとりとした目つきで、首を伸ばしてきた。意外とやわらかいさわり心地、初体験だった。

 牛がここまでなれるには、毎日毎日なでて声をかけてやることが大切だそうで、そうすることで成牛になっても、おとなしく綱につながれることも、嫌がらないそうだ。子牛は、8ヶ月育てて市場に出荷される。情がわいてちょっとかわいそうになることも!!

 この牛たちは、響さんの田んぼではでぼしされた稲わらとあぜ道や里山で刈り取った草を食べる。そして、この牛たちは仁多の美味しいお米と切っても切れない存在なのだ。「牛が居らんようになったら、うまい米は作れない」響さんは言う。

 水田は140アール。牛を飼い、シイタケ栽培も手がけている。手間隙かかること、高齢化による担い手不足から、牛を手放す農家も増えてきた。響さんは、米作りと育牛は「循環型農業の基本」だという。

 牛にわらやあぜの雑草を食べさせ、糞尿はわら・雑草と一緒に成熟させ堆肥にする。刈り取った稲ははで干しする。最近は、稲刈りと脱穀が同時に出来るコンバイン導入がすすみ、はで干しは少なくなった。牛を飼う農家は、わらが必要なため、はで干しがかかせない。天日干しのお米のおいしさは、また格別なのだ。

 「牛が土を作り、土が牛を育てる」昔からの先人の知恵、循環型農業は先進的なことではなく、日本の里山で培われた先人の知恵だった。手入れされた田んぼや里山、これが森を守り、おいしい水をはぐくむ、仁多の里山は、日本の原風景を今も残している。緑あふれ清流が流れる山里に、赤がわらの屋根が美しくはえる。

おいしい仁多米を作る専業農家 響 繁則さん(奥出雲町)【#連載98】

お母さん綾子さんが作ってくれた煮しめ・漬け物、これが絶品!

仁多のお米 その2

 140アールの田んぼで、コシヒカリ、ヒメノモチというもち米、改良雄町という酒米を作っている。

 この酒米は、国輝酒造との契約栽培で、響さんの米だけで酒造りをし「あいのゆめ」というお酒に生まれ変わる。評判のお酒だが、なにしろ量が少ないので、国輝酒造本店へ行かないと手に入らないらしい。当初、「ひびき」という名を付けようとしたが、某洋酒メーカーの手前没になった。「あいのゆめ」は阿井と愛をかけて名づけられた。

 もち米「ひめのもち」、仁多のおもちは、スーパーでも実演販売で餅つきをしているのを見たこがあるだろう。「ひめのもち」は、とてもおいしいお餅ができるのだが、作るのが難しい品種、気温や湿度によって、稲穂のまま、米粒から発芽してしまうそうで、苦労が多いそうだ。

 そして、コシヒカリ。このお米は、農協に出荷せず自宅で低温管理し、お得意様に販売している。

 ほとんどの田んぼは、低農薬栽培をし、品質管理に勤めているが、ごく一部は無農薬栽培をしている。当然、雑草が生えてくるので、せっせと草取りをする。これは、ホントに手間隙かかる米作りなのだ。

 うまい米を作る響さんの言葉には、気負いもなく、毎日続けるだけと淡々としている。販売も、米やシイタケは、天候に左右され、大量生産も出来ないため、常連さんを大事にしたいと、販路を盛大に広げるという考えはない。しかし、昨今の米離れもあり、販路には苦労しているようだ。

 このおいしい米にシイタケ、ぜひ一度食べてみませんか。筆者オススメです。

 作る人の顔が見える安心安全な美味しいお米をご賞味ください。 ご用命は響さんへ直接連絡してみて下さい。

 おいしい仁多米を作る専業農家 響 繁則さん(奥出雲町)【#連載98】

響さん宅のお座敷での取材風景。
歴史の重みを感じさせる本格木造の立派なお宅だ。

今回掲載の元気企業データ

氏名 響 繁則(ひびき しげのり)
所在地 島根県仁多郡奥出雲町下阿井579
業務 専業農家
◆島根県林研グループ連絡協議会副会長
◆島根県林業インストラクター
◆NPO法人もりふれ倶楽部理事
連絡 TEL 0854-56-0895

 

2010年9月9日取材

15700
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