花の村 あさり保育所所長 相山慈さん(江津市)【#連載58】
(取材・文章 大西佐和子)
どうしてUターンを?
【今回の元気人】
社会福祉法人花の村
あさり保育所(島根県江津市)
所長:相山慈さん(33歳)さん
前は、千葉県のカー用品販売会社に勤務していました。
会社の理念は好きだったのですが、仕事にのめりこみすぎて体がついていかなくなり、そのうち気持ちもついていかなくなり…もう少しかっこいい作り話を用意しておけばよかったなぁ(笑)
保育所 |
社会福祉法人花の村 あさり保育所 |
所長 |
相山慈さん(33歳) |
所在地 |
〒695-0002 島根県江津市浅利町336-4 TEL 0855-55-1024 FAX 0855-55-1084 mail asari@hana-mura.net |
URL |
http://www.hana-mura.net/ |
保育所にかかわることになって
木登り遊び 普通なら危ない!!やめなさい!。。。なんですが
帰ってきてから、実家が経営する保育所に手伝いで入りました。建物の中に大勢の子どもがいる、その独特の雰囲気が心地良くておもしろいなと思い、半年ほどして所長になりました。
実際にはどうでしたか? |
楽しかったですよ・・・・・
子どもたちと同じ空間にいるだけで元気が出てくるというかやる気が沸いてくるというか、子どもたちと一緒にいる喜びを感じました。子どもたちが日々成長していく姿を、保育所のいたるところで感じることができ、本当に楽しい仕事だと思いました。
それと同時に、0歳~小学校にあがるまでの人間の基礎作りにかかわる以上、所長としてのまた、大人としての責任を感じました。
どのような子どもたちに成長してもらいたいか、保育所として何ができるかをずっと考えていました。それから、どうしても狭くなりがちな保育所の環境に不自然さを感じ、いろんな人や考え、文化などがどんどん入り込んでくればいいなと思っていました。
つき動かされた昨年の出会い
泥んこになって一生懸命に遊ぶ 本来の子供の姿かな。
昨年は本当にいい出会いや気付き、発見の年でした。保育所がすべきこととして、漠然と考えていたことが、研修会で出会った講師の先生(せいがの森保育園 藤森園長)のお話を聴いて、ビビッときました。
それからは追っかけのように(笑)
ここではどのような子どもの 育ちを目指していますか? |
主体的に活動ができる子どもの集団が保育園の中で作られればいいなと思います。
そして、いろんな人とのかかわりを喜べ、楽しめる人になって欲しい。その中で、自分と姿や考えが違う人もいてあたりまえ、ということが頭だけでなく、感覚で身について欲しいと思っています。
保育所の中ではどんなことを大切にしたいですか?
大きな葉っぱ遊び、これも自然一杯の田舎ならでは
保育所では、子どもが主体的に取り組める環境を整えることや、保育士が専門性をもって子どもと関わること、見るだけでも守るだけでもない「見守る保育」をすることが大切なのではないかと思っています。
また、主観で保育するのは怖いので、子どもを客観的に見ることができるよう、ソフトも導入しました。それプラス、職員の経験を生かし日々の子どもの育ちを見守っています。
私個人としては、大人にも子どもにも、常に自分らしさを出してかかわりたいと思っています。どう言ったら、自分らしさが伝わるのか考えているうちに、声をかけるタイミングを逃していることもありますが(笑)。
それから、今後脳の発達についても勉強したいと思っているところです。
地域の中の園として・・・
そとで元気に仲良く遊び、日焼けで真っ黒け
保育所の中で行っていることをいろんな人にわかってもらう必要があります。みなさんも、浅利を通られる際には、保育所をのぞいてみてください。
子どものことを考えれば考えるほど「子育て支援」という枠組みにとらわれず、広く地域や社会に目を向け、すべての人に対して、働きかけることが必要だと感じています。
一見関係ないようなことが、目に見えないところでつながって、まわり回って関係してくる、無関係なものはひとつもないですね。そう思わないとできない仕事かもしれません(笑)
また、地域や社会の中の保育所として、方向性を誤っていないか見つめ直したりすることも大切だと思います。当所では、様々な観点から、職員でプロジェクトチームを組んで、各チームで勉強し、得たものを発表し合うことなども行っています。
ちなみにご趣味は?
これからしたいと思っていることは山登り。息子(2歳)と山頂の石で豆を砕いてコーヒーを沸かして飲みたいですね。たった一杯のために時間をかけることができる、心の余裕を大切にしたいです。いわゆる自己満足ですが(笑)
最後にインタビューを終えて
言葉に出すのが苦手だが、自分の言葉で語ることで、考えを整理したいと取材を引き受けてくださいました。
強い志を持ちつつも、「人(子)とかかわる仕事は正解があるわけではないので難しい。」と柔軟な姿勢をのぞかせ、自分の気持ちを正確に伝えたいと言葉を選んで重ねるように話されたこと、また職員の先生方を信頼されている姿に誠実さと、今後の意気込みを感じました。
子どもが自ら育とうとする力を温かく見守る若き所長さん、ありがとうございました。
最後の最後に・・・8種の具が入った保育所特製のお好み焼き、おいしかった~。ごちそうさまでした。
平成18年7月取材