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在ブラジル島根県人会副会長の古田川英雄さん(松江市出身)【#連載64】

ブラジル発!!南米の地で神楽舞の普及に情熱を燃やす在ブラジル島根県人会副会長の古田川英雄さん(64)

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ブラジル-----

(取材・文章 門脇さおり from ブラジル)

在ブラジル島根県人会副会長の古田川英雄さん(64) 

【今回の元気人】
在ブラジル島根県人会副会長
古田川英雄さん(64)松江市堂形町出身。
南米の地で神楽舞の普及に情熱を燃やす。

ブラジル発 元気印

日本から約2万キロ、地球のちょうど反対側に位置する国。
時差は12時間、春夏秋冬も正反対、日本の23倍という大地がはるか、大西洋を臨む。

初めての日本移民は1908年、移民船「笠戸丸」に乗り、サントス港へ入港した。
それから間もなく一世紀―――。

世界最大規模の日系コロニアを有するブラジルで、日本古来の伝統芸能「神楽舞」の普及に情熱を燃やす古田川英雄さん(64)に焦点を当てた。

海外飛雄の夢

在伯島根県人会館にて作業中の古田川さん

在伯島根県人会館にて作業中の古田川さん

古田川さんは松江市堂形町出身。
高校卒業後、広島県で住宅産業企業に勤めていた時に妻、揚子さん(60)と出会い社内結婚。その後、独立して商業に従事していたが、33歳のある日、ふと、「人生60年ならば、あとの半分は海外に出てみようか。広い世界を見てみたい」と思い立った。

当時、7歳と3歳の二人の子どもがいたが、古田川さんの決意は固い。
揚子さんの兄が先にブラジル移住をしていたことから、「義兄の呼び寄せ」という形で1976年3月、同国入りを果たした。サンパウロ市イピランガ地区で衣料品店をオープン、数年後には2店舗を構えるまでに成長した。
現在は、アクセサリー、バッグ類を中心としたファッション・ショップ「NOSSA  LOJA(ノッサ・ロージャ)」を夫婦で切り盛りしている。

古田川さんはまた、日本ブラジル文化協会の芸能委員などのほか、今年、創立50周年という節目を迎えた在ブラジル島根県人会副会長としても活躍。10月8日には澄田信義県知事ら慶祝団を招き、記念式典が同会会館(サンパウロ市プラッサ・ダ・アルヴォレ地区)で開かれたが、古田川さんら県人会会員が右へ左へと奔走したからこそ、イベントは成功裡に終えることができた。

神楽との出会い

ユーモア溢れる「道化の舞」=古田川さん提供=

ユーモア溢れる「道化の舞」
=古田川さん提供=

ブラジルの神楽舞は1968年、移住者の留守家族会訪問団の一員として来伯した故・細川吾一郎さん(広島県出身)が、息子の晃央(てるお)さんへのお土産として持ってきた神楽面がきっかけ。訪伯団歓迎の宴で盛り上がった広島県人たちが、この鬼面をつけて神楽を舞ったのが始まりという。実は、この晃央さんが、古田川さんをブラジルに呼び寄せた義兄だった。

もともとユーモア溢れる人柄の古田川さんは、会社勤めをしていたころから「どじょう掬い」などの宴会芸が得意だった。天性の素質を生かすべく、ブラジルに来てすぐ、晃央さんに誘われて神楽団メンバーとなったが、日本では一度も神楽に触れたことがなかったという。

「最初は正直なところ、入れさせられて、覚えさせられたという感じです」と、当時を振り返る古田川さん。
店を閉めた後、20分ほどバスに揺られて東洋人街リベルダーデの練習場に通った。帰りのバスは、途中下車をして道端で吐くほど具合が悪くなることもしばしば。

「私たちがやっている神楽は島根県邑智郡羽須美村の隣りの、広島県作木町の神楽。あの地域の踊りは8調子なものだから動きが速くて速くて・・・・・・」。
苦笑いを浮かべながらも、神楽舞のことになると、次から次へと話題に尽きない。

そんな古田川さんが南米の地で神楽を最後に舞ったのは2002年、ブラジル東北部のペルナンブコ州の州都、レシフェで開かれたイベント。これを目処に現役を引退、後続の育成に力を注ぐこととなった。

波乱を乗り越えて

迫力満点の『八幡の大蛇』は雑誌でも紹介された=古田川さん提供=

迫力満点の『八幡の大蛇』は雑誌でも紹介された
=古田川さん提供=

ブラジルで生まれ、40年近くの歴史を持つ神楽団。
当地の有力誌『Veja(ヴェージャ)』が、今年7月にサンパウロ市内であった第9回日本祭りを紹介するオンライン記事で、『八幡の大蛇』の写真を大々的に使い、神楽舞を最高のアトラクションとして称えるほどブラジル社会に浸透した。
しかし、万事、順風が吹いていたわけではない。

結成当初は道具も衣裳もすべて手製。自動車のスプリングで調子金を作ったり、醤油樽に牛皮を張って太鼓にした。鬼や姫、ひょっとこの面は諸口紙(障子紙)と石膏で作成したため、踊っているうちに面の縁が汗でふやけてぐにゃぐにゃになった。今でも、約30年前、日本の有志から寄付してもらった衣裳を直しなおし使っている。

また、団員数が高齢化のため極端に少なくなり、一時は存続が危ぶまれたこともあった。古田川さんら残ったメンバーが懸命に勧誘したことが功を奏し、現在は広島、鳥取、山口など中国地方中心とした移住者の子や孫のほか、生粋のブラジル人も加え、20代の若い男女26人が集まった。

講師に末田団長(後列、左から5人目)を迎えたブラジル神楽団=古田川さん提供=
講師に末田団長(後列、左から5人目)を迎えたブラジル神楽団=古田川さん提供=

息を吹き返した神楽団は昨年3月、広島県高宮町・甲田町から神の衣裳、鬼の衣裳の寄贈を受けた。同時に、国際交流基金を通して広島県加計町津波神楽団の末田健治団長、尾坂秋三前団長を講師に招き、若い神楽団の特訓が行われた。

故郷(ふるさと)へ想いつなぐ

故郷とブラジルをつなぐ神楽募金が始まった=いわみ芸術劇場提供

故郷とブラジルをつなぐ神楽募金が始まった
=いわみ芸術劇場提供

異国の地で日本の伝統芸能の普及に費やす労力は計り知れない。
その汗と涙を払拭する朗報がこのほど、故郷の島根から飛び込んできた。

古田川さんは10月、島根県人会50周年記念式典で来伯した県環境生活部長、山根成二氏に神楽舞を熱く語っていたが、同氏の計らいで益田市の石見神楽神和会が古衣裳の寄付活動に協力してくれることになったのだ。
「遠くブラジルで伝承活動をされている皆様のお役に少しでも立てることができれば」。

同会は加盟社中が使わなくなった古衣裳を集め、さらに新品の鬼棒と弓矢とともに贈呈すると申し出てきた。また、毎週日曜日、益田市有明町のいわみ芸術劇場で催されている『石見の夜神楽定期公演』において、12月10日からブラジル神楽団への神楽道具寄贈募金もスタート。募金活動は2007年3月まで続けられるそうだ。劇場には全国から観光を兼ねて来館する人も多く、地元関係者も、「まずは日本の田舎町益田の地から発信し、広がりが出てくれれば」と期待を寄せている。

「神楽の衣裳は、1匹の鬼の打掛が豪華なもので300万円から400万円。だから、神楽舞を一通りやると1500万円の衣裳が舞台で踊っているんだよ」。

いつでもどこでも、100%の熱意をもって神楽に接してきた古田川さんは感無量の様子だ。ブラジル神楽団は2年後の2008年、日本人のブラジル移住100周年記念事業の一環として開催される芸能祭のオープニングを務めるという。
「新しい衣裳を多くの皆さんに披露できることを心から楽しみにしています」と、古田川さんに満面の笑顔が弾けた。

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