『催眠体験レポート』
「最初はイメージのテストをさせてもらいます。この時イメージが全くできなければ、催眠はお断りさせてもらってます。少しでもイメージができれば、そのまま誘導させてもらいます」
いよいよだ。何となく身体の体勢を整えてみる。
「じゃあ、目を瞑ってくださいね~。お部屋はちょっと暗くさせていただきますね~」
シャーっと、カーテンが引かれる音を聞きながら、目を閉じる。
鈴木さんの質問が始まった。
(鈴木)「机の上にメモがあります。イメージしてください。メモはいくつありますか?」
(土山)「・・・二つです」
(鈴木)「大きさはどうでしょう?」
(土山)「・・・手のひらくらいです」
という感じで、鈴木さんの質問は続く。
頭の中のイメージを口にしながら、だんだんとリラックスしていく。
いくつかの質問に答えた後、鈴木さんから最後の質問。
(鈴木)「今あなたがいる部屋には出口がありますか?」
(土山)「あります・・・」
(鈴木)「それでは、そこから外に出てください。イメージが上手にできたので、今から誘導にはいりますね」
いよいよ未知の世界へ・・・。また少し緊張する。
「では、大きく深呼吸を10回します・・・大きく吸って吸いきったら少し止めてくださいね。
少し止めてから、ゆっくりと吐いていきます。吐く息と一緒に、自分の力をどんどん抜いていってください・・・」
「力が抜けていくと、身体が重く感じます・・・。ソファーに身体をまかせましょう・・・。
ゆっくりと、大きな呼吸で・・・リラックスして・・・」
「深い深呼吸が終わったら、あとは自分のペースで呼吸をしていきましょう・・・。
自分のペースで呼吸をしていると、いつもの呼吸より、ゆっくりと呼吸していることに気がつくかもしれません。とても穏やかに、とてもリラックスした、深い呼吸へとかわっていきます・・・」
鈴木さんはいろいろな言葉で、時間をかけて、ゆっくりとリラックスを促してくれる。
鈴木さんの声質もすごくいい。女性にしては少し低め、落ち着いた、安心感のある声である。
まさに魔法の言葉。言葉の魔術師である。
鈴木さんに誘導されて、だんだんと身体全体がリラックスしていくのがわかる。
「それでは、もっとさらに深くリラックスしましょう。私が3から1まで数えます。
ひとつ数えるごとにあなたは更に深く、深く、自分をリラックスさせてください・・・」
次に、鈴木さんが5から1まで数えると、そのたびにリラックスが倍になるという暗示をかけられる。
カーテンがひかれてから、ここまで約15分。
意識はしっかりしているが、BGMが時折とぎれるような感覚。
身体が重たく感じるような気もしてくる。
「あなたは、誰にも邪魔されず、自分だけのとても気持ちのいい草原で、すっかりリラックスして、
ゆったりとしたソファーに座ってくつろいでいることを想像してください。
そのソファーはあなたの好きな色です。そして、あなたの好きなデザインです。あなただけのお気に入りのソファーです。お気に入りのソファーに座って、ゆっくりとくつろぎましょう・・・」
暖色系のゆったりとしたデザインのソファーをイメージしていると、鈴木さんの声が更に響く。
「それでは、これから私と一緒に、あなたが本当に幸せになれた未来を訪ねにいきましょう」
いよいよである。
でも、やっぱり意識ははっきりとしている。
本当に催眠にかかっているのかな・・・。
少し不安にかられる。
ここから、鈴木さんに未来へと誘導されたのだが、その誘導の仕方がなんともいえず面白かった。
まるで、ファンタジー映画の世界に足を踏み入れたかのよう・・・。
ここで詳しく書いてしまうのも、なんだかもったいないくらいの世界観なので(笑)控えさせていただきますが・・・。
興味のある方は、ぜひ鈴木さんのところで体験してください~。
というわけで、未来に到着。
(鈴木)「あなたが本当に幸せになれた未来がひろがっています。私が数を3つ数えます。
そして、はい、といったら、あなたの視界がはっきりとします」
し、視界がはっきり!?
正直言って何も見えない・・・。
(鈴木)「さぁ、あなたはどこにいますか?」
う~ん・・・。どこだろう・・・。建物があるような気がするし。
(土山)「家の前・・・?」
(鈴木)「未来のあなたはいくつですか?」
う~ん・・・。正直言って何も見えない。
(土山)「・・・」
(鈴木)「今と変わらないのでしょうか?それとも年齢がいっているのでしょうか・・・どんな感じでしょう?」
(土山)「・・・今と・・・変わらない感じです」
そんな気がする・・・という感覚のみで答える。
(鈴木)「そこで、あなたは何をしていますか?」
(土山)「・・・」
(鈴木)「立ってるんでしょうか?座っているんでしょうか?」
(土山)「・・・立ってる・・・」
・・・ような気がする・・・。
(鈴木)「立って何をしているんでしょうか?」
(土山)「・・・こっちを向いてる・・・」
(鈴木)「どんな表情をしてます?」
(土山)「・・・笑ってる・・・」
(鈴木)「それでは、未来のあなたに近づいてください。そして、アドバイスをもらいましょう」
そんな気がする・・・。
ただそれだけだ。
だめだ・・・。催眠、かかってないんだな・・・。
この時点でも、意識ははっきりしている。
テレビみたいにはいかないんだなぁ・・・。
と、思った瞬間。
急に、感情が高ぶってきて、目から涙があふれだした・・・。
(土山)「・・・」
涙が止まらなくなった。
(鈴木)「私に何か、アドバイスがありますか?と、聞いてみてください。それは、答えとして、聞こえるかもしれません。あるいは、文字が頭に浮かぶかもしれないです」
(土山)「・・・」
鈴木さんの言葉に答えることができないほど、次から次へとあふれてくる涙・・・。
(鈴木)「あなたが、何か聞きたいことがあったら聞いてみてください。聞きたいことを全て聞き終わったら、教えてください」
(土山)「・・・」
気が動転してしまい、聞きたいことがなんだったのかすら、思い出せない状況である。
映像が見えるわけでもない。声が聞こえるわけでもない。
ただ、何かが心に語りかけている感じがする。
(今のままで大丈夫だよ・・・)
よくわからないが、そんなふうに言ってもらっている気がして、涙が止まらない。
本当に何が何だかわからないが、涙はとめどなくあふれてくる。
(鈴木)「では、未来のあなたと握手をしてください。どんな気持ちが伝わってきました?」
(土山)「・・・」
(鈴木)「気持ちが伝わってきましたか?」
(土山)「・・・はい」
(鈴木)「未来のあなたに、これからも見守ってくださいね、と伝えてくださいね・・・。
では、さっきの気持ちのいいソファーに戻りましょう。
私が数を3つ数えてはい、と言ったら、あの気持ちのいいソファーに、
あなただけのお気に入りのソファーに座ってますよ・・・」
まだ涙は止まらないが、何だかとても気分がいい。
(鈴木)「あなたはとてもリラックスしています・・・幸福感で満たされています・・・」
本当にそんな感じ。まさに幸福感。
(鈴木)「では、そろそろ今の時に戻りましょう。3,2,1・・・はいっ」
ゆっくりと手足を動かして、ゆっくりと目を開け、それからゆっくりと起き上がった。